岸田文雄首相が表明した「防衛増税」をめぐる財源のあり方について14日、自民党本部で、所属議員が意見を述べる会合が開かれた。会議に先立ち、党税務調査会は非公式幹部会合で、復興特別所得税と法人税、たばこ税を対象とする方針を確認したが、会合では復興特別税を対象とすることに被災地出身の議員を中心に異論が続出した。

福島県が地元の菅家一郎衆院議員は、会合後の取材に「(復興特別税を創設する際)旧民主党政権でも財源をどうするかの議論があった。(徴収を定めた特措法は)重い法案で、防衛予算にあてるというのは、何が根拠なのか説明責任が必要だ必要だ。復興に対する前向きな姿勢が問われる。慎重に対応すべきだ」と、政府側にくぎを刺した。

また、福島県出身の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員は「東北の震災を救おうという目的税としてつくった税目なので(あてるのは)イメージが悪い。(あてることで)本当に(本来の目的に)影響が出ないのか、役所は100%大丈夫とは言い切れなかった。影響が出ないと言えない以上、慎重になるべきだ」とした上で「復興から防衛に(税目の目的が)変わるのは、極めて分かりにくい。それなら、別個に『防衛目的税』をつくったほうが分かりやすいのではないか」と、持論を述べた。

一方、牧原秀樹衆院議員は「復興特別所得税を防衛の目的に転換するというのは、理論的にちょっと難しいと思う。たばこ税についても、なぜ防衛の目的にあてないといけないのか。なかなか理解してもらうのが難しいと思う」と指摘。「被災地が地元の議員を中心に『違うのではないか』という意見がほとんどだった。額賀福志郎・党復興加速化本部長から『復興は、国民全員で支える意味での特別目的税。防衛を国民全員で支えるという意味では、自分としては納得がいっているが、それで復興が遅れたり予算が削られるというのはいけない』という発言があったが、復興目的税を防衛の予算にあてることに賛成というのは額賀さんのみ。安定財源を求めるべきとする議員の中でも、復興特別税だけは再考した方がいいという議員が複数いた」と明かした。

政府はこの日、復興特別所得税の期限について、2037年から14年間延長する案を自民党税制調査会に提示した。一方、一部で浮上している建設国債をあてる案については、この日の会合では政府側からは示されなかったという。【中山知子】