岸田文雄首相が防衛費を増額する財源の一部を増税で賄うとした方針を巡り、自民党の税制調査会が14日開かれ、防衛費増額の財源について法人税、復興特別所得税、たばこ税の3税を活用する方針が確認された。

法人税については中小企業などへの負担軽減措置を設けることを決めた。政府は2027年度には防衛費増額へ1兆円超の税収確保を目指すが、党内からは拙速な増税に異論、反論の声が続出している。

防衛相を務めた石破茂元幹事長は復興税の転用について「全面的に賛成は1人もいなかった」とし「きちんと言わないと、話が違うとなる。あまり筋がいいと思わない」などと批評した。たばこ税活用も「あまり正しいと思わない」。法人税については「賃上げに水差すとか、設備投資に水差すとか言うけれど、史上空前の利益を上げている。中小企業、零細企業に負担が行かないような配慮をどれだけ、きちんと出来るか」と容認の姿勢を示した。

柴山昌彦元文科相(安倍派)は、防衛費増額の財源に国債をあてない岸田氏の方針に異を唱え「他の予算については国債の発行を許している。防衛だけ、それを許さないというのは理屈が立ちにくい。国債を一切、使わないという発言について相当、違和感を覚えている」とした。「ヒゲの隊長」こと元陸上自衛隊幕僚の佐藤正久参院議員は「『防衛目的税』をつくったほうが分かりやすいのではないか」とした。

岸田派(宏池会)事務総長の根本匠元復興相は復興税について「総額が削られるわけではない。一銭たりとも削られない。あたかも復興財源が削られるかのごとく誤解を招いている」と強調した。15日も会合が行われ、16日の取りまとめに向け、調整は大詰めを迎えるが、紛糾が収まる気配はない。【大上悟】