岸田文雄首相が早ければ来週にも、「政治とカネ」の問題がくすぶる秋葉賢也復興相を交代させる検討を進めていることが23日、関係者などへの取材で分かった。支持率低迷が続く首相にとって正念場となる来年1月開会の通常国会を前に、「問題閣僚」を替えて国民の批判や野党の追及をかわすのがねらい。過去に性的少数者らへの差別的な発言や寄稿をした杉田水脈総務政務官も「交代リスト」の1人に浮上している。

ただ、これまでも再三更迭を求められながら「適材適所」として続投させてきた秋葉氏らを、国会閉会中の年末のどさくさに紛れて交代させる流れに、野党関係者は「年末大掃除のつもりか」と強く批判した。

秋葉氏の交代論は、21日に「政治とカネ」で自民党の薗浦健太郎衆院議員が議員辞職に追い込まれたことが、大きく影響している。自民党内でも秋葉氏の「交代やむなし」の声は広がるが、旧統一教会との関係性などを調べる必要があり、後任選びは難航するとの見方もある。仮に交代させても、通常国会で野党に「なぜ今更」と追及されるのは確実。首相の逃げ腰姿勢も問題視されそうだ。

渦中の秋葉氏は23日午前の閣議後会見で、交代論について「私が決めることではなくコメントできない。復興が実感できるよう施策を前に進める」と述べるにとどめた。

一方、同日夕の臨時閣議後会見では、問題が指摘される大臣が職務を続けることの見解を問われ「私が人事の権限を持っているわけではない」としながらも「この4カ月で27回現地に足を運んだ。私自身が被災地選出議員で、被災3県の実情はだれより詳しいと自負している。復興を目に見える形で先に進めるため職責に全力を尽くす」と、続投に意欲をみせた。

岸田政権では10月以降、山際大志郎氏、葉梨康弘氏、寺田稔氏が閣僚を更迭される「辞任ドミノ」が続いた。一方で、首相の任命責任も、ずっと問われ続けている。【中山知子】