れいわ新選組の山本太郎代表は16日、国会内で会見し、うつ病の悪化によって昨年10月から議員活動を休職していた水道橋博士参院議員(比例代表)が議員辞職したことを発表した。この日、尾辻秀久参院議長宛てに辞職届を提出し、承認された。山本氏は「昨年12月から博士から議員辞職したいと複数回、強く伝えられてきた。議員活動できないことへの焦りが募っていたようだ」などと説明した。

水道橋博士氏は昨年7月の参院選の比例代表で初当選した。参院議員の任期は6年。今後は比例代表名簿で水道橋博士氏の次点だった大島九州男元参院議員が繰り上がるが、得票数順に長谷川羽衣子氏、辻恵元衆院議員、蓮池透氏、依田花蓮氏が、それぞれ約1年ごとに順番で議員を務めることを公表した。

参議院は衆議院とは異なり、解散がなく、任期6年間を議員活動に専念できる。1年限りの任期リレーは党による議席の私物化とも受け取られかねない。だが山本氏は「その感覚が理解できない。比例に投票していただいたすべての方々に応えるローテーションになる。私物化というよりは最大限、投票してくれた人の票を生かす実験的な試み」などと強く反論した。さらに「6年間、腰を据えて本当に国益に資するようなことを進めている議員がどれくらいいる? 6年間座り続けて居眠りし続けている状態」などと指摘し、「1年と期限を切って、その中で最大限、仕事をやれる人たち」と強調した。

国会法第107条第1項で「各議院は、その議員の辞職を許可することができる」と規定されており、参議院議員課は「議員は議長に辞職許可を願い出て、認められれば、辞職できる。病気を理由とする場合もあれば、一身上の都合の場合もある」としている。

比例代表で議員辞職や死去などによる繰り上がり当選は珍しくないが、山本氏が「れいわローテーション」と命名した、残り任期で比例代表名簿順に複数人による繰り上がりを事前に決定するのは前代未聞だ。任期が約1年限りの「議員バッジリレー」は議論と波紋を呼びそうだ。【大上悟】

◆辞職願不許可と複数議員による繰り上がり 参議院によると、1994年7月15日、新間正次参議院議員(民社党)が議員辞職願を議院運営委員会の理事会に提出したが、不許可となった。新間氏は92年の参院選初当選時の選挙公報に虚偽記載が発覚し、公職選挙法違反で在宅起訴されたが、議員辞職しなかった。新間氏は94年7月18日の最高裁で上告を棄却され、有罪判決が確定し、当選無効となった。理事会は最高裁判決の直前での議員辞職願の提出であることから認めなかった。

比例代表で当選した議員が辞職後、複数議員が繰り上がったのは1995年8月に田辺哲夫参院議員の死去に伴い、山東昭子氏が繰り上がったが96年10月に衆院選に鞍替え出馬のため辞職し、嶋崎均氏が繰り上がったが、嶋崎氏は96年5月に死去。長尾立子氏が3人目の繰り上がりとなった例などがある。