岸田文雄首相は1月31日の衆院予算委員会で、今月の欧米5カ国を歴訪に同行した長男の翔太郎首相秘書官が現地で岸田氏の土産を購入したことは政務秘書官の「本来業務。すなわち公務であると思う」との認識を示した。購入した土産は「全大臣に買ったと承知しております。具体的な内容については控えます」とし、松野博一官房長官や加藤勝信厚生労働相ら10閣僚が土産を受け取ったことを明らかにした。「いずれにせよ、私自身のポケットマネーで買ったということは間違いない」と強調した。

政府は翔太郎氏が同行中に公用車で観光したなどとの週刊誌報道に対し、各所を訪れたのは公務で広報用の写真撮影に訪れた、英国の有名デパートなどで買い物をしたのは岸田氏の土産購入が目的だったとした。

立憲民主党の後藤祐一氏から「プライベートのお土産を買うために岸田翔太郎総理秘書官が官用車を使った。プライベートにお土産を買うことは総理秘書官の公務ですか? 公私混同じゃないですか」と重ねて指摘を受け「これを公務と言うのは、いかがなものか」と皮肉られた。民主党政権で副総理や外相を務めた立民の岡田克也幹事長は「(お土産は)無駄だと思い、私はしなかった。何らかの申し合わせがあってもいい」と苦言を呈した。

本格論戦の舞台は予算委員会に移った。防衛増税や少子化対策などの重要審議は野党側の質疑と岸田氏の答弁がかみ合わず、「公務の土産購入」の論議が脚光を浴びている。【大上悟】