藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局が9日からの2日制で、東京都立川市「SORANO HOTEL」で行われる。対局前日の8日、両対局者は現地入り。対局場の検分を行った後、前夜祭にも出席した。

黄金カードは、開幕局からお互いに先手番で白星を挙げ、藤井の2勝1敗。初防衛まであと1勝とするか、羽生がタイに追いつくか。今局がシリーズの流れを大きく左右する。

藤井にとっては、昨年王将を獲得した舞台。「よいイメージを持っています」。前夜祭でも「この場所に戻ってこられて大変うれしく思います」と話した。

タイトル戦で初めて羽生と3局戦って、「引き出しの多さを感じています」と評した。第1局(1月8、9日、静岡県掛川市)は意表を突いた一手損角換わり、第2局(同21、22日、大阪府高槻市)は相掛かり、第3局(同28、29日、金沢市)は雁木(がんぎ)。羽生の変幻自在な指し回しに対応して、熟慮するシーンが目立つ。「戦型も中盤以降の展開のいずれも大きく違い、うまく指されています。1手1手非常に難しかったですが、充実感もあります」との印象もある。

今回は後手番。王将戦第2局、2月1日のA級順位戦8回戦の永瀬拓矢王座戦と、直近の後手番では連敗している。「序盤からしっかり集中して考えていければと思っています。よりよい内容の将棋になるよう全力を尽くしたいと思います」と抱負を語った。

対する羽生は立川で初の対局となる。「眺望がすばらしく、対局に集中できます。棋士としてとっても光栄」と話した。埼玉県所沢市で生まれ、4歳で東京都八王子市に引っ越した。立川は準地元だ。家族で昭和記念公園に日帰りで遊びに来たこともあるという。

黒星を喫した後手番の奇数局について、「互角に近い局面はあったと思う。自分がはっきり有利になったという瞬間はない」と分析している。先手番の第2局は相掛かりから快勝した。今回も先手番。「主導権の取りやすさを生かし、いい内容の将棋が指せたらと思います」。どんな指し手が飛び出すか、目が離せない。