政治学者の中島岳志氏(47)が14日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜午後1時)に出演。党首公選制を訴えて日本共産党から除名処分を受けた元党本部職員で現役党員の松竹伸幸氏の騒動について「一番喜ぶのは自民党」と私見を語った。

松竹氏は、1月19日に出版した「シン・日本共産党宣言」(文春新書)の中で、全党員が参加した形での党首の公選制を導入すべきと主張。共産党は民主集中制をとっており、党内の決定事項は党員が一致団結して実行にあたり、分派や派閥をつくらないことを組織規定としている。

そのため、今回松竹氏が本を出版したことについて「党内の党規約に基づく正式のルートで表明するということを一切やらないまま、突然、外から党の規約や綱領の根本的立場を攻撃するということを行った」として除名処分を決めた経緯がある。

中島氏は現在の志位委員長体制が23年目を迎えることを念頭に「たしかに、(共産党の)党首はずっと志位さん、僕が子どものころはずっと不破さんと変わらない。外から見ているとなぜ? 民主的な言論が与えられているのか? という印象を多くの人に与えてしまうのは事実だと思います」とした。

続けて「こういう状況は憂慮すべきものだと思います。というのは、誰が一番喜ぶのでしょうか。それは圧倒的に自民党です。1年半前に衆議院選挙があって、野党は敗れたものの、結構ギリギリで野党共闘がかなり力を発揮した。小選挙区で野党側を一本化することで接戦に持ち込んだ。そういう選挙区がたくさんあった。もう少し大きな形で、もっと早い段階で協力ができていれば、結果はわからなかった。自民の中心にいた人もギリギリの勝利で、浮かれていてはならない。野党共闘は脅威と認識していた」と指摘した。

にもかかわらず「その後、野党共闘の在り方を巡って激しい対立が続き、共闘はボロボロになった。いつまでこんなことを続けるのか、結局政権交代、日本を変えるチャンスをどんどん失っていき岸田内閣は全然支持されていないのにもかかわらず、ズルズル続いていく。そんなことに、私たち日本国民は政治自体にシラけてしまう。野党の在り方についてしっかり向き合わなければいけない重要なポイントであると思う」と続けた。

その上で中島氏は「共産党の言い分もわかります。野党共闘に至るプロセスで共産党はすごい我慢をした。立憲民主党にいろいろなことを譲り、新たに連立を築くためには自分たちも変わっていかなければならないということに踏み出しました。しかし、最後にこの問題『民主集中制』という党内の強いトップダウンの組織論をどう考えるのか、防衛的な態度だけでなくもう一度、共産党の中でもしっかり議論をしてこの問題を世の中がどう見ているのか分析してほしいと思います。党首選は世の中に共産党はどんな考えを持っているかを訴える重要な契機だと思う」と語った。