参院は22日、本会議で昨年7月の初当選から1度も国会に登院していないNHK党のガーシー(東谷義和)参院議員に対して「議場での陳謝」とする懲罰処分を与野党の賛成多数で可決した。ガーシー氏は欠席し、登壇して陳謝文を読み上げる規則は履行されず、尾辻秀久参院議長はガーシー氏に対し、次回の参院本会議出席を命じ、27日までに可否を明示するよう文書で通告した。応じない場合は懲罰委員会に再度付託され、最も重く議員の身分を失う除名処分の検討に入る見込みだ。

「良識の府」とされる参院は、採決を前に同党の浜田聡参院議員が行った弁明を皮切りにヤジと怒号が飛び交う「NHK党劇場」となった。立憲民主党の斎藤嘉隆参院国対委員長の「1回で除名もやむなし」発言について「私は立法府に身を置く者として、国会に登院しないという理由での除名という先例にないことを行うのであれば、立法を先にすべきと考える。斎藤議員は国会議員としての資質を欠いてる」と批判した。

これに対して与野党席から「(弁明に)関係がない」「何を言っているのか分からない」などのヤジが止まらず、尾辻議長も「弁明の範囲内で答えるように」と再三、警告したが、浜田氏は「聞こえてました。言っている内容としては弁明とつながっている。弁明の内容と私の立場としては特に問題ない」と続行した。

急きょ、与野党の議院運営委員が登壇し、弁明を続ける浜田氏の横で「不穏当な発言」として異例の協議を行う異様な事態となった。議運委の立民・森本真治理事は「ガーシー議員の代読であったのか、所々に浜田議員が主語を私は、ということで個人の発言もあった。代読という権限を逸脱している」とし、「速やかに理事会で協議し、対応する」と浜田氏にも処分が下される可能性が高まった。

採決する際も、れいわ新選組の山本太郎代表らが退場して棄権するなど異例ずくめ。NHK党の立花孝志党首も「1日だけでもピンポイントで来て突然、国会に現れるシナリオを考えている」と仰天発言。ガーシー氏が滞在中のアラブ首長国連邦(UAE)から一時帰国して除名を回避する作戦で「除名されるまでに、むしろ来る確率の方が高い」としたが、シナリオ通りとなるか、今後の動向は不透明だ。【大上悟】