東京・神宮外苑再開発計画の見直しを求めている超党派の議員連盟「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」(代表・船田元衆院議員)は3日、国会内で会合を開き、再開発で神宮球場や秩父宮ラグビー場が建て替えられることに反対の署名を続けるスポーツ界の有識者らが出席、現計画への反対をあらためて示した。

出席したのはラグビー元日本代表の平尾剛氏、日米の文化を比較した著書「菊とバット」で知られる米ジャーナリストのロバート・ホワイティング氏、楽天イーグルス初代GMを務めたマーティ・キーナート氏(オンライン参加)、実業家ロシェル・カップ氏。

秩父宮ラグビー場移転反対の署名を立ち上げた平尾氏は、現在の計画を「看過できない」と批判。新ラグビー場は屋根が開閉されず、人工芝となり収容人数も減ることに触れ「これが実現したらラグビーではない。青空、芝生の元で、風の強さや日差しの向きを考えながら戦術を考える屋外スポーツのラグビーが失われてしまう。人数が減ることも、ラグビーの普及をする気があるのかと思う」と指摘。「秩父宮は日本ラグビーの象徴」として解体ではなく改修して使用することを求め、英国では築100年のラグビー場が改修しながら現存していることにも触れ「100年の森を壊してその上に建てられ、しかもこぢんまりしたものになる。どこから考えても考えられない再開発だ。ラグビー関係者はもっと自分ごととして受け止めて考えてほしい」と呼びかけた。

ホワイティング氏は、神宮球場を「大都会の中の特別のオアシスだ」と評し、ベーブ・ルースがプレーした球場が現存するケースは、神宮球場を含め世界に4つしかない(ほかにフェンウェイ・パーク、リグレー・フィールド、甲子園球場)ことにも言及。「(解体なら)これまでの伝説に終止符を打つことになる。(計画を見ると新球場は)球場というよりビジネスセンター、ショッピングセンターのよう。野球ファンのことを考えていない」と、指摘した。

キーナート氏は「日本人は、米国人がボストンのフェンウェイパークを尊敬しているように、神宮球場を尊敬していると思ってきた。再開発計画を聞いたときびっくりした。どれほどがっかりしたか」と述べ、かつてフェンウェイ・パークで解体計画が持ち上がった時、米国内で大反対運動が起き、改修にとどまったとして「どうしてランドマークの球場を残せないのか。壊すのは簡単だ。これは解決策ではない」と訴えた。

再開発計画をめぐっては、東京都が事業者に工事の施工を認可したことを受けて、カップ氏ら61人が2月28日、認可の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。【中山知子】