小泉純一郎元首相(81)と菅直人元首相(76)は11日、東京・日比谷公園で行われた東日本大震災の追悼の集い「311未来へのつどい ピースオンアース」に出席し、共通の持論である「原発ゼロ」の必要性を、強く訴えた。

2人は、建て替えや再稼働延長など「原発回帰」にかじを切った岸田文雄首相の原発政策を厳しく批判。菅氏が「もう1度、小泉さんといっしょに政権を取りたいですよね」と、原発ゼロの“同志”と、国のエネルギー政策転換に踏み出したいという願いを打ち明ける場面もあった。

小泉氏は、東京電力福島第1原発事故が最悪のケースをたどった場合、東京や地元の神奈川を含む半径250キロ圏内の住民約5000万人が、避難対象となるシナリオがあったことに触れ「原発はふるさとをなくしてしまう代物だ。ゼロにしなければならない」と主張。「日本には太陽光、風力。水力、地熱がある。こういうものを活用していけば必ず日本は原発ゼロでも停電なく、国民に電気を供給できる。やればできることを今、どうしてやらないのか不思議だ」と述べた。

岸田首相の対応を念頭に「もし時の日本の総理が、原発をゼロにしようといえば、ほとんどの国民は賛成してくれると思う。原発は事故を起こせば、そこに住めなくなる。それを政府が認めているのは、どうかしている。今また、原発を増やそうとしている。どうかしてるんじゃないか」と、厳しく批判。「原発問題に与野党も右も左もない。あきらめないで、与野党共同でやっていきたい。原発をゼロにして自然エネルギーを活用する社会をつくりましょう」と訴えた。

事故当時の総理大臣だった菅氏は「事故が起きてヘリで現地に飛び、吉田(昌郎)所長に会っていろいろな話を聞いた。頭に浮かんだのは『日本沈没』だ。最悪のシナリオを専門家に聞くと(対象地域の)全員が逃げ出さないといけない、と。日本が沈没する寸前だったことを、経験した」とも告白した。

その上で、ウクライナの原発がロシアの攻撃対象になっていることを念頭に「自分の国に原発を持っていることは、自分の国の中で原発事故が起きれば核爆弾を落とされたことと同じだ。こんなに危険なものを、なぜ今の政府はやめようとしないのか」と述べ、小泉氏と同様に岸田政権を批判。「もう1度、小泉さんと2人で政権を取りたいですよね」と小泉氏に語りかけると、小泉氏は苦笑いし、会場はどよめいた。