参院懲罰委員会(鈴木宗男委員長)は14日午前、昨年7月の初当選から1度も国会に登院していない政治家女子48党(旧NHK党)のガーシー(東谷義和氏)参院議員(比例代表)に対して、最も重い処分で議員の身分を失う「除名」を全会一致で採択した。15日の参院本会議で懲罰処分が発議され、出席議員3分の2以上の賛成で1951年(昭26)以来、72年ぶりとなる「除名」が正式に可決する。

懲罰には重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告がある。国会議員の除名は過去に2例。参院では1950年4月の小川友三氏、衆院では51年3月に川上貫一氏が、いずれも除名処分となっている。

ガーシー氏は8日の参院本会議で「議場での陳謝」とする懲罰処分を受諾していたが欠席し、尾辻秀久参院議長から院議に従わず院内の秩序を乱すものとして、再び懲罰委員会に付託された。委員会ではガーシー氏の代理人である浜田聡参院議員が弁明を行い、「除名というペナルティーを科せられるなら、おれの公約は160人ほど方々(議員)の意見でほごにされる。私も有権者に謝罪するが、あなた方も有権者に謝罪してください」など反論したが、予定の10分間を超える弁明に鈴木氏から再三の警告を受けた。

委員会後に会見した鈴木委員長は「ひどい人なんかは私に対して何かガーシーに弱みを握られているのか?」などと国会欠席から除名採決に至るまで約8カ月を要した批判が多く寄せられたことを明らかにした。またガーシー氏が議員歳費を返上する意向を示していることについて「身勝手というか、独りよがりだと思う」とした。

ガーシー氏が除名となった場合には比例代表の名簿順4番手で実業家のホリエモンこと堀江貴文氏の秘書を務める同党の斉藤健一郎副党首を繰り上げ当選させる方針を表明し、比例代表名簿順ではガーシー氏の次点は、れいわ新選組の山本太郎代表と同姓同名でスカウトした山本太郎氏、同党黒川敦彦幹事長の順になるが、同党は両氏を離党させ、繰り上がり当選の資格を喪失させる手続きを終えたとしている。同党は斉藤氏が繰り上がった場合にガーシー氏同様に登院しない可能性を示しているが、「もし、次にこういう機会があるならば、時間はかけないで手続きは取っていきたい」との速やかに対応する認識を示した。