外務省は21日、岸田文雄首相が同日、ウクライナを訪問すると発表した。ゼレンスキー大統領の招待を受けたもの。21日未明(日本時間同日朝)、隣国のポーランドに入っており、電車での移動を経て21日夜、ウクライナの首都キーウに入り、ゼレンスキー大統領と会談する。

ウクライナ訪問後、22日に再びポーランドに移動して首脳会談を行い、23日朝に日本に帰国する。

首相は19日にインド訪問のため日本を出発し、インドに滞在していた。極秘裏にインドを出発したとみられる。

昨年2月、ロシアによるウクライナ侵攻後、首相のウクライナ訪問は初めて。戦闘が行われている地域への日本の首相の訪問は極めて異例。一方でG7の英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、米国の各首脳はすでにキーウ入りしており、G7首脳で訪問していないのは、日本の岸田首相だけになっていた。

首相は今年、5月のG7広島サミットで議長国を務めることから、サミット開催前の訪問の可能性を模索していた。現地での警備や安全上の問題、情報管理の面から、「電撃訪問か」の臆測が浮かんでは消える状態が続いていた。

今回、ウクライナ訪問の日程は事前公表されていなかった。

首相は今年1月、ゼレンスキー大統領との電話会談の際に、大統領からキーウ訪問の招待を受けた。これまで、国会で再三、ウクライナ訪問の可能性を問われていたが、「現時点で自身の訪問について何ら決まっていない」「諸般の状況も踏まえて検討していきたい」などと答えるにとどめていた。

国会開会中の首相が海外に出向く際は、事前に国会への報告が必要な慣例があることも、電撃訪問の大きな壁となっていた。最近になって与野党からは、事前の報告は必要ないとの声も出ていた。