ロシアを訪問してプーチン大統領と会談した中国の習近平国家主席が宿泊するホテルに、大量のケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が届けられていたことが分かった。ロシアがウクライナを侵攻して以来、初めて20日から3日間の日程で国賓としてロシアを訪問した習主席は、米大統領など海外の指導者が通常宿泊する赤の広場近くのホテルを避け、モスクワ郊外にある中国人所有の5つ星ホテル「ソリュックス」に宿泊したと伝えられている。

外交使節団以外の立ち入りが禁じられる厳重な警備の中、ロシアの国営メディアがホテルの入り口で中国人スタッフがデリバリーされた大量のKFCのロゴ入り袋を受け取る様子を撮影した。受取人が誰なのかは分かっていないが、代表団が到着した直後のことだったという。英テレグラフ紙などによると、ロシアと中国の国旗が掲げられたホテルの前に配達員は少なくとも18個のKFCの袋を置いていったという。

ロシアでは昨年2月のウクライナ侵攻以降、多くの外国企業が撤退したり、営業を停止している。KFCも昨秋に事業を現地の運営会社に売却して撤退することを発表しており、現在は存在しないはずの創業者カーネル・サンダーのロゴ入り袋が配達されたことに謎が深まっている。ロシアでは撤退後も本家のマクドナルドにそっくりなハンバーガーが継続して販売されていることなどが伝えられている。KFCは中国のファーストフードのパイオニアとして知られ、市場の4割を占める人気だという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)