衆参5補欠選挙の先陣を切って6日、参院大分選挙区補選(23日投開票)が告示され、自民党公認の新人で飲食店経営の白坂亜紀氏(56)と、立憲民主党公認の吉田忠智前参院議員(67)が立候補した。東京・銀座でクラブなどを経営する白坂氏を公明党が推薦し、吉田氏を社民、共産、国民民主の野党が支持・支援し、事実上の与野党一騎打ちとなった。
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銀座ママの白坂氏がJR大分駅前の広場で行った出陣式と第一声に大物議員が駆けつけた。地元・竹田市出身で早大卒。在学中に老舗クラブに勤務し、東京・銀座でクラブ3店舗などを経営する白坂氏は「竹田市は県内一の高齢化など課題が山積している。胸が痛みます。子どもの頃に元気だった竹田を、大分を取り戻したい」と訴え「もっともっと女性が働きやすい環境を。子どもは宝物です。みんなで守り、育てる。竹田に産婦人科医が1軒もありません。大きな病院もありません」などと政治の必要性を強調した。
挙党体制で小渕優子組織運動本部長に加え、この日は世耕弘成参院幹事長もサプライズでマイクを握り、白坂氏がリーマン・ショック時に「売り上げが100分の1に減って、銀行からの貸しはがしにあって、首をくくろうかというところまで追い詰められた」などの苦労話を披露した。
また「国政の場では目を皿にして人のミスやアラやスキャンダルを探して、それを国会の質問で罵倒して批判をして、それで自分がテレビに映って良かったと思うような政治家が増えた。挙げ句の果てには人のことをサルと呼ぶような人まで出てきた」と皮肉った。衆院憲法審査会について「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」と発言し、謝罪した立民・小西洋之参院議員や高市早苗経済安全保障担当相の辞任を追及する立民の姿勢を批判した。
銀座のオーナーママとしてNHKなどのテレビ番組でも紹介された白坂氏だが、地元では知名度がネックで、公募で正式選出されたのが3月11日と短期決戦の補選で出遅れが指摘されている。世耕氏とともに地元企業訪問や集会を行脚するが、世耕氏は「まだまだ自民党支持層にすら浸透できていない。どれだけ投票日までにたくさんの人に会ってもらえるか」とした。自民党最新の情勢調査でも現状は吉田氏に5ポイント以上のリードを許している。岸田文雄首相の応援メッセージも披露され、選挙期間中に応援に駆けつけることも発表され、知名度アップに全力を注ぐ。【大上悟】
○…吉田氏の第一声は、泉健太代表も駆けつけるなど必勝体制をアピールした。元大分県庁職員の吉田氏は大分県庁前の公園で「大分で生まれて大分で育った。物価高対策、働く人、特に農林水産業、地域の活性化。前回の参院選でみなさんが守ってきた議席。何としてでも守っていく」など訴えた。泉氏も「立憲民主党としては公認候補を出している大分選挙区、山口4区、千葉5区の勝利を最優先に取り組み、3勝したい」と掲げる。泉氏にとって昨年の参院選で敗北して以来、初の国政選挙で結果次第では求心力が問われる。
大分は村山富市元首相の地盤で社民党など野党勢力の牙城でもある。前回2019年参院選は社民党党首も務めた吉田氏が比例代表として当選も20年に離党し、立民入党。「比例代表として県へのつながりが、それほど強くない」(後援会幹部)とする声もある。
また同党の小西氏の「サル発言」への影響について「大分ではサル発言の影響はないと祈りたい」(党幹部)との懸念も消えず、吉田氏が出馬表明した3月20日には「選対事務所は影も形もなかった。1枚のポスターもなかった」(選対幹部)と出遅れを公言する。地方組織の脆弱(ぜいじゃく)が課題の立民に試練の補選となる。

