岸田文雄首相は26日の参院本会議で、自身が参院和歌山1区補欠選挙の遊説で訪れた和歌山市で爆発物を投げ込まれた問題をめぐり、谷公一国家公安委員長が25日、警察庁から事件に関する連絡を受けた後も「うなぎ丼はしっかり食べた」と発言した問題について、野党側の更迭要求に応じなかった。

首相と同じ広島選出の立憲民主党の宮口治子議員が「広島サミットを前に危機感も緊張感も感じられない。『うな丼大臣』は即刻更迭してください」と求めたが、岸田首相は「引き続き職務に当たってもらいたいと思っている」と述べるにとどめた。

当時の谷氏の行動について、首相は「出張先で和歌山での爆発物投てき事件の発生について報告を受け、必要な指示、情報収集を行いながら業務を継続したものと聞いている」と述べた。谷氏がうな丼を食べたことについては、言及しなかった。

谷氏は25日夜、東京都内で開かれた自民党議員のパーティーであいさつした際、和歌山の爆発事件発生時、自身が高知県を訪れていたことに言及。その上で「四万十でおいしいうなぎ丼を食べられるということで楽しみにしていた。これから食べようという時に、警察庁から『和歌山で岸田総理にものが投げられた』と連絡があった」「そういうことがあったけれども、うなぎ丼は、しっかり食べさせていただいた」と発言した。

国家公安委員長は、政府の治安対策の責任者だけに、無責任な発言として、野党が追及の構えをみせている。岸田内閣でしばらく沈静化していた「大臣辞任ドミノ」の“再発”となりかねない状況だ。