自民党は8日の党会合で、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案をめぐり、大型連休前に続いて議論を行った。

今月19日に始まるG7広島サミット前の法案成立を求める声が与野党内にあるが、自民党内の議論はこの日もまとまらず、「サミット前の法案成立」は困難ではないかとの悲観的な声も出始めた。

この日の会合では、2021年に超党派の実務者でまとめた法案にある「差別は許されない」という表現を、「不当な差別はあってはならない」と修正した案が示された。「差別は許されない」という現法案の表現には自民の保守派に反対の声があり、党内の意見集約ができずに、法案が2年あまり国会に提出できない事態を招いてきた。

修正案に対しては、保守派の中にも一定の理解を示す声があったというが、依然慎重論も残り、10日に再び議論を行う。

ただ、2年前に与野党の超党派で紆余(うよ)曲折の末にまとめた法案内の文言の修正には、野党側の反発は避けられない。この日の会合に出席した、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」会長を務める岩屋毅衆院議員は「人権に関わる問題なので、できるだけ大多数の国会のマジョリティー、賛同を得て決める。できれば全会一致で決めることが大事だ」とした上で「(修正案が)超党派の合意を得られる案になり得るのか、さらに努力が必要」と述べた。

その上で、広島サミット前の法案成立に関して「なかなかサミットまでというのは厳しい。日程的には厳しくなってきている」と述べ、サミット前の法案成立は困難との認識を示した。

理解増進法案をめぐっては、国際社会や経済界などから速やかな成立を求める声があるほか、自民党内でもG7広島サミット前に成立させるべきとの意見がある。サミット前の法案成立には、今週内に自民党内で意見集約を実現することが必要になる。【中山知子】