10日夜、沖縄県上空で、大きな火球のようなものが目撃された。複数の物体が複数の尾を引いて空を進む様子が目撃された。

火球を撮影したツイッターアカウント「izuizu」さんによると、観測した時間は10日午後8時34分ころ。沖縄市で撮影し「西側から現れて東側へと流れて行きました」という。最初は「飛行機曇」かと思ったというが、「この時間に飛行機雲はおかしいと思いスマホにて撮影しました」。「izuizu」さんは「音も無くスーッと夜空を黄金色の尾を引きながら流れて行きました」と語った。

流星の観測に詳しい平塚市博物館の天文担当学芸員の藤井大地さん(37)によると、西から東に移動した火球の位置や角度などから、2022年11月5日に打ち上げられた中国の3段式ロケット「長征3号B」の残骸の可能性が高いという。衛星を打ち上げた後のロケットの残骸はしばらくは軌道上を回り続けるが、大気などの抵抗を受け、徐々に速度が落ち、最後に落下を始め、火球になるのだという。

流星は秒速11~72キロの速度だが、今回のような人工天体は秒速7~8キロと速度が遅く、大気圏への進入角度も浅いため「ちびちびと長く光る」のが特徴という。過去には1985年10月8日夜、阪神-ヤクルト戦の最中に旧ソ連の人工衛星「コスモス1685」を打ち上げたロケットの残骸が火球となり、多くの人が観測したこともあったという。

次はいつ、火球が見られるのか。藤井さんによると、地球の大気は膨張と伸縮を繰り返しており、その大気の影響で最後の落下が始まるため、宇宙船の再突入のように何月何日の何時にといった予測は難しいのだという。