大手牛丼チェーン「吉野家」で容器に入った紅しょうがを自分の口に入れた箸を使ってかきこみ、店に損害を与えたなどとして器物損壊と威力業務妨害の罪に問われた元ボクサーの嶋津龍被告(35)の初公判が11日、大阪地裁(高橋里奈裁判長)で行われた。

嶋津被告は昨年9月29日、大阪市住之江区内の吉野家で、自分の口に入れた箸を使って共用の容器に入った紅しょうをかきこむようにして食べた。この様子を知人が撮影しインスタグラムに投稿。その後、削除したがインターネット上に拡散し、知人とともに逮捕されていた。

検察側は嶋津被告と知人とのスマートフォンのデータを解析。動画データなどが残されていたことを明かし、「紅しょうが709グラム、損害額269円を汚損し、他人のものを損壊させた」と指摘。店側は事件発覚後、備品の消毒などで休業しており、威力業務妨害の罪についても問いただした。その上で、嶋津被告の「一緒にいる知人を笑わせようとした。店舗に迷惑をかける。紅しょうがを提供できなくなるのも分かっていた」との供述を披露した。

上下黒の服装で法廷に立った嶋津被告は「間違いありません」と認めた。

検察側はさらに2件の追起訴を行う意向も示した。

嶋津被告は2010年にプロボクサーのC級ライセンスを取得していたが、活動実績はほとんどない。