松野博一官房長官は25日の会見で、岸田文雄首相の長男、岸田翔太郎秘書官が昨年末、首相公邸内で親族とともに記念写真を撮るなど不適切な行為があったと「週刊文春」が報じたことを受け、首相が翔太郎氏を「厳しく注意した」と明かした。その上で「適切さを欠くもので、今後このようなことがないよう適切な使用、管理を徹底したい」と述べた。翔太郎氏に対しては「一層の緊張感をもって職務にあたっていただきたい」と注文した。

文春は「岸田一族『首相公邸』大ハシャギ写真」のタイトルで報道。報道によると、翔太郎氏は昨年12月、昨年8月の内閣改造の際に閣僚の集合写真が撮影された、公邸内の赤じゅうたんが敷かれた階段で、親族ら約10人で記念撮影を行った。真ん中には翔太郎氏が立っていた。また、首相が会見で使用する演台で親族とみられる男女が、ピースサインなどのポーズを取ったり、かつては閣議で使われた円卓に親族が座る写真もあった。

松野氏は、報道内容について「年末の親族の来訪時のもので、総理も食事の場に一部、顔を出してあいさつされたと聞いている」と述べた。時期的に親族を集めた「忘年会」だったとみられる。

翔太郎氏をめぐっては今年1月の首相の欧米歴訪に同行した際、パリやロンドンで大使館の公用車を使って観光やお土産の購入をしたなどと、「週刊新潮」に報じられた。翔太郎氏は、秘書官を統括する立場にある政務担当の秘書官を、元経産事務次官の島田隆氏とともに務めているが、秘書官の業務以前の部分での問題行動が相次いでいる。

記者から更迭はしないのか、また首相の厳しい注意では甘いのではないかなどの指摘が相次いだが、松野氏は「一層の緊張感をもって職務にあたっていただきたい」のフレーズを繰り返すにとどめた。しばらく沈静化していた翔太郎氏の秘書官としての資質への批判が再燃するのは確実だ。