LGBTなど性的少数者への理解増進法案は16日の参院本会議で、与党修正案が自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党などの賛成多数で可決され、成立した。立憲民主、共産、れいわ新選組、社民各党などは反対した。

一方、自民党から、一部保守派議員らが採決を退席した。青山繁晴議員、和田政宗議員のほか、山東昭子前参院議長も採決に加わらず、採決が終わった後、本会議場に戻った。

本会議後に取材に応じた青山氏は「正しい選択と考えて退席した。執行部の方々とも話し合いはしたが、すべての点で(法案への)懸念は払拭(ふっしょく)されていないと、1人の自民党議員として考えている」と述べた。修正案に盛り込まれた「性自認」の表現が、英語の「ジェンダーアイデンティティ」と変更されたことを退席理由の1つに挙げ「日本人がこれまで使ったことがない言葉を、立法府が修正と称して使うことには反対だ。日本語を壊すことや政治的ごまかしにもつながる」などと訴えた。

山東氏は「生煮えの状態ではなく、きちんとした形で(議論を)やっていかなければならないのではないか」と話した。

自民党が維新、国民民主党の案を事実上丸のみした与党修正案では、2021年に超党派の実務者で合意した「性自認」の表現が、英語の「ジェンダーアイデンティティ」に替えられた。また、「差別は許されない」の表現は、与党案の段階で「不当な差別はあってはならない」に、変更された。

今回成立した与党修正案に対しては、当事者団体「LGBT法連合会」も反対の声を上げている。13日に「私たちの求めてきた法案とは真逆の内容。強く非難する」という内容のコメントを発表。条文にある「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するものとする」「政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする」という箇所について、「実質的に多数派に配慮する規定として機能する」と指摘している。