立憲民主党が秋にも想定される次期衆院選を巡り、大揺れとなっている。会期末を迎えた21日、泉健太代表は両院議員総会後の会見で苦しい現状を露呈した。重鎮の小沢一郎氏や小川淳也前政調会長ら11人の衆院議員が16日に発起人として「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立し、野党共闘を訴えて党内に波紋が広がった。

泉氏は「どの政党を対象にするのか、必ずしも有志の会の中でも明確にはなっていないと聞いている」としたが、有志の会は60人近い議員の賛同を集めているとされる。この日は小沢氏が会長を務める政策グループ「一清会(いっせいかい)」を発足させ、衆参合わせて約15人議員が参加する予定だ。小沢氏は両院議員総会を欠席し、党内には「泉降ろし」ともみられる動きが活発化している。

野党候補の一本化について日本維新の会の馬場伸幸代表は「わが党は応えることはできません」と改めて完全否定し、国民民主党の玉木雄一郎代表も立民との選挙協力には否定的。選択肢として残る共産党は前回2021年の衆院選で候補者調整を行い、「立憲共産党」とやゆされ、改選前109議席から96議席と敗れて枝野幸男前代表が引責辞任したトラウマが根強い。

馬場氏は「(有志の会は)立憲共産党に帰りたい、という方々の集まりではないかな」と冷ややかで、泉氏に「党内のガバナンスを効かせて一致団結して衆院議員選挙に向かっていく。一刻も早く体制作りを整えていただきたい」と同情的なエールを送った。

野党分裂は16日に立民が提出した岸田政権に対する内閣不信任決議案でも明らかだった。共産は賛成したが維新と国民は反対し、反対多数で否決された。泉氏は「そろう時もあれば、乱れる時もある。これが今の野党の現状。仕方のない話」などと結論付けたが維新、国民との溝は広がる。

泉氏は共産党との選挙協力の可能性について「政治っていうのは、常に簡単じゃないということ」と言及を避け、記者団から「それでは分からない」と詰め寄られると「だから分からないことなんですよ、政治っていうのは。そんな簡単に白黒、毎度毎度つくものじゃない」と不機嫌モードで今後については「さまざまあり得る」と語気を荒らげた。野党第1党の不協和音は収まりそうもない。【大上悟】