安倍晋三元首相が奈良市で選挙応援演説中に銃撃され死亡した事件から1年になる8日、現場近くに献花台が設置された。自民党奈良県連所属の国会議員ら有志でつくる団体が、テントとともに近鉄大和西大寺駅前(北口)の事件現場近くに設営した。献花台には多くの人が訪れた。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を長年追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏も献花に訪れた。「事件現場を訪れて弔意を示したいという方と僕も同じ気持ちです」と悼み、「なぜ憲政史上最長期間、首相を務めていた方が亡くなるような事件に発展したのか、考えてほしい」と話した。

事件の数カ月後から毎月現場を訪れ、定点観測しているという鈴木氏は「現地の状況がどう変わっていくか。現場の空気感を肌で感じたい。亡くなった安倍首相が最後にみた風景、視点はどういうものだったのか。山上被告が最後に銃撃した地点。どういう形だったのかを実感したいと思い、通っている」と説明した。

山上被告は鈴木氏の記事を読んでいたことも判明しているが、「僕の書いた記事によって安倍首相が亡くなったと曲解する人も一部いる」。現場に弔問を訪れることを公表してきたという鈴木氏は防刃ベストを着て、訪れた。

鈴木氏は「自民党は政治家と統一教会の問題は、形だけで済ませている。第三者機関の検証がされていない。今後また、同じような事件が起こり得る素地がある」と話し、「合法的に安倍元首相が生きたまま、教団との関係を追求したかった」と悔やんだ。