将棋の最年少7冠、藤井聡太王位(竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が佐々木大地七段(28)の挑戦を受ける、「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦7番勝負第4局」が15、16の両日、佐賀県嬉野市の老舗旅館「和多屋別荘」で行われ、先手の佐々木が85手で藤井を破り、対戦成績を1勝3敗とした。王位4連覇を狙う藤井は「異筋の角」に苦戦し、シリーズ初黒星。第5局は22、23日、徳島市「渭水苑」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

   ◇   ◇   ◇

佐々木七段がよく勝ち切りました。盤全体を大きく使った魅力のある戦いぶりでした。藤井王位の「浮き駒」となった飛車に対し、じっと落ち着いて「捕獲作戦」を展開します。まずは封じ手直後に4筋の守備金を1段上げた手。今後の攻防を見据えた、いい味付けです。さらに中盤、3筋に回った飛車に対して横の4筋に角を打った手で流れが傾いたと感じています。最後までじっくり腰を据えて攻略しました。

藤井王位は飛車を捨て、3筋の銀を打ち込んで勝負に出たのでしょうが、その後の手が伸びませんでした。結果的に駒損が響きましたから。いつものさえた手がありませんでした。

私と同じ九州出身の佐々木七段ですが、熱い九州の将棋ファンの声援は大きな後押しになります。懸案の相掛かりにこだわり、ついに勝ちました。かど番をしのぎ、明るい気分で第5局に臨めるはずです。対する藤井王位は次局で予想される「角換わり腰掛け銀」でどんな形にするのか。佐々木七段が連勝すれば、シリーズは面白くなります。(加藤一二三・九段)