ドイツ・ベルリンで開催されたベルリンマラソンで24日、環境活動団体「ラスト・ジェネレーション(最後の世代)」が妨害活動を行った。マラソンのスタート直前、コース内にオレンジ色の液体塗料をまいた。団体メンバーの一部は警察官に拘束されたとみられる。団体は17日にもマラソンのゴール付近である観光名所ブランデンブルク門に塗料をかけていた。
ドイツ紙「ターゲスシュピーゲル」などによると、マラソンは約4万8000人が参加。合計650人の警察官が周囲を警戒し、レースが始まる数分前に団体の活動を阻止した。バケツに入った塗料が、スタート位置から300~400メートルほど離れた道路に飛び散ったが、競技は問題なく始まった。活動家は8人いたといい、それぞれに2000ユーロ(日本円で約32万円)の罰金が科せられる可能性があるという。
団体はX(旧ツイッター)で「出番だ」などとポスト。コース上のオレンジ色を「警告色だ」とし、2030年までの化石燃料からの脱却を訴えた。さらに「次のビッグイベントで我々の姿をもう一度見たいか。あるいは我々の主張にようやく耳を傾けるか。この問題はあなたやあなたの愛する人々に関わる問題だ」などとポストした。
スタート後、先頭のランナーたちは塗料をよけていたが、その後の集団はよけきれず、踏んで進まざるを得なかった。団体側はXに「ランナーたちは私たちの警告と要求という抗議をベルリン中に運んだ」などとポストしたが、ランナーたちはシューズに正体不明の液体が付着するだけでなく、液体で滑って転倒する恐れもあった。
団体はこれまでに、名画にマッシュポテトを投げ付けたり、道路に手を接着させ交通をまひさせるなど、騒ぎを起こしていた。ドイツだけでなく欧州各地で抗議活動をしてきた。「ビッグイベント」が何を指すかは具体的に示されていない。「2030年までの化石燃料からの脱却」を訴える一方で、団体は行動を各地で繰り返しており、欧州で来年開かれる大きなイベントの1つである2024年パリ五輪での抗議活動の可能性も、懸念材料になりそうだ。