日本維新の会の鈴木宗男参院議員(74=比例代表)は10日、馬場伸幸代表、藤田文武幹事長に離党届を提出した。鈴木氏は1日から5日まで党に無許可でロシアを訪問したことを巡る処分に関してこの日、馬場、藤田の両氏と協議し、党が決定していた除名処分の勧告を受け入れる前に自ら離党届にサインして同日付で受理された。鈴木氏は当面、無所属で活動する。

維新は所属国会議員に対して事前の海外渡航届の提出を通達している。鈴木氏は9月29日、参院に同渡航届を提出したものの、党に提出されたのが、渡航翌日の2日となり、規定違反に問われた。鈴木氏は手続きの不備認め、処分を受け入れるとした。

鈴木氏はロシア滞在中に国営通信社のインタビューに応じ、のウクライナへの軍事侵攻を巡って「ロシアの勝利を確信している」などと発言した動画が配信された。対ロ制裁など国会決議に反し、ロシアに政治利用される可能性が指摘されるなど、5日の役員会や党紀委員会で重い処分を求める意見が相次いだ。

鈴木氏は離党を決意した理由として「対ロ外交においては、まったくの価値観の違いが出てきたのが明らかになった」とした上で「自由に物が言える、自由に発信できるのは何が一番かなと考え、後援者とも相談した」と説明した。問題視された発言についても「私の発言がすり替えられている。(日本の)いろんな講演でも言っている。その時に問題にならないで何でロシアで物言えば問題になるのか不思議」と反論した。鈴木氏は今後も「日本の国益のため」に独自ルートによる対ロ外交を継続していく姿勢を示した。【大上悟】