第74回NHK紅白歌合戦の出場者が、例年だと今月中にも発表される。SMILE-UP.に社名を変更した旧ジャニーズ事務所からは、創業者ジャニー喜多川氏(19年死去)の性加害問題で、出場者ゼロの可能性が高いといわれている。そうなれば、旧ジャニーズタレントが出場しないのは、第30回(79年)以来44年ぶりとなる。紅白と旧ジャニーズ勢の歴史を振り返ってみた。【笹森文彦】
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NHKは、創業者の性加害問題の補償や再発防止の取り組みがきちっと確認できない限り、旧ジャニーズ勢へ新規の出演依頼は行わない、という見解を示している。現時点で、紅白への旧ジャニーズ勢の出演は難しい状況だ。
旧ジャニーズタレントの紅白出演ゼロは、第30回以来44年ぶり。逆に言えば、第31回から昨年の第73回まで43年連続出場。初出場は第16回(65年)で、そこから数えると43年連続51回出演している。紅白と旧ジャニーズの歴史を振り返る。
◆旧ジャニーズ勢初出場 第16回に4人組の初代ジャニーズが初出場し「マック・ザ・ナイフ」を歌った。対戦相手は弘田三枝子さんだった。翌年以降はアメリカ進出のため不出場。
◆フォーリーブス時代 第21回から7回連続出場。元祖「歌って踊れるアイドル」として、北公次さんがステージで初めてバック転を披露した。
◆光GENJI 初出場の第39回で、トップバッターでメドレー「ガラスの十代~パラダイス銀河~Diamondハリケーン~剣の舞」を歌唱した。初出場、トップバッター、メドレーは紅白史上初。この回はトップバッターの光GENJIから、少年隊、男闘呼組、近藤真彦と旧ジャニーズ勢が4連続で歌唱した。
◆SMAP、TOKIO2組時代 第45回以降、SMAPとTOKIOの2組出場が多かった。年末恒例のカウントダウンライブが、紅白の時間帯と重なることが主な理由とされた。
◆出場回数 TOKIOが第45回から24回連続出場で旧ジャニーズ勢1位。2位はSMAP23回、3位は嵐12回、4位は関ジャニ∞11回。グループ・ユニットの出場回数では、TOKIOが歴代1位。2位はSMAP、3位がザ・ピーナッツで16回。4位はダークダックス、ドリカム、Perfumeの15回。
◆司会<1> SMAP中居正広が第48回で、旧ジャニーズ勢で初めて白組司会を担当した。25歳で、白組の史上最年少司会だった。中居は歴代8位の計6回司会を務めた。第58回は紅組司会に起用された(白組は笑福亭鶴瓶)。男性の紅組司会は、NHKアナウンサー宮田輝氏以来51年ぶりだった。第61回で、嵐が紅白史上初めてグループで司会を務めた。旧ジャニーズ勢では櫻井翔が歴代5位の8回司会を務めた(嵐5回、個人2回、スペシャルナビゲーター1回)。NHKアナウンサー以外では最多。
◆司会<2> 旧ジャニーズ勢は第57回の中居から、70回の櫻井まで14回連続で司会を務めた(中居の紅組を含む)。嵐は第61回から5回連続で白組司会を担当し、連続司会担当回数で歴代6位。中居は第57回から4回連続で11位。ちなみに1位は宮田輝氏の12回連続。
◆大トリ 第54回で、SMAPが旧ジャニーズ勢初の大トリを務めた。紅白史上初となるグループでの大トリで、「世界に一つだけの花」で締めくくった。この回は審査員らの投票形式で、白組が史上初めて完封勝ち(15対0)した。SMAPは、五木ひろしとともに歴代3位の6回の大トリを務めた。1位は美空ひばりさんと北島三郎の11回。嵐は3回で6位。SMAPは4回連続で大トリを務めた。ひばりさんの10回連続に次ぐ歴代2位である。
◆最多7組出場 第66回で、白組26組中、旧ジャニーズ勢が史上最多の7組出場した。白組司会はV6井ノ原快彦、白組トリは19年ぶり出場の近藤真彦だった。第71回でも7組が選ばれたが、初出場のSnow Manが新型コロナウイルス感染で辞退した。
◆応援・バックダンサー・企画 第31回の田原俊彦初出場で、たのきんトリオの近藤真彦と野村義男が応援出演した。第39回の光GENJIの初出場でSMAPがバックダンサーを務めた。第70回でSixTONES、Snow Manを含むジャニーズJrが企画「Let,s Go to Tokyo」に出演した。
【注】すでに退所、独立しているタレント、解散したグループも、当時所属として掲載した。
■今年の司会は
第74回NHK紅白歌合戦の司会は、タレント有吉弘行(49)、俳優の橋本環奈(24)浜辺美波(23)、同局高瀬耕造アナウンサー(47)が務める。橋本は2年連続2回目。ほか3人は初司会となる。今年のテーマは「ボーダレス-超えてつながる大みそか-」。長年、司会は紅組、白組に分かれていたが、21年から「司会」に統一された。
◆笹森文彦(ささもり・ふみひこ)札幌市生まれ。83年入社。主に文化社会部で音楽担当。旧ジャニーズ事務所の初代担当記者。光GENJIの解散、田原俊彦の独立、近藤真彦の自動車レース、SMAP、TOKIO、V6のデビュー、木村拓哉の結婚など数々の事象を取材した。