鈴木俊一財務相は9日の参院財政金融委員会で、8日の国会答弁で岸田文雄首相が打ち出した定額減税に関し、過去の税収増分は政策的経費などで使用済みだと認めたことについて「『原資がありません』という言葉は使っていない」と答弁した。

鈴木氏の8日の衆院財務金融委員会での答弁をめぐり、「原資なし」がインターネット上のトレンドワードになったが、これに反論した形だ。

立憲民主党の柴慎一議員に「ネットでは『原資なし』がトレンドワード化している。真意が伝わっているのか、総理がこれまで言ってきたことと違うという声が上がっている」と指摘された鈴木氏は「昨日の委員会の発言で、私は原資がありませんという言葉は使っていません」と反論。

「(2年間で)見込みの税収から伸びた部分は予算や補正予算で、すでに政策的に、国債の償還に充てられているということを述べた。今回の措置は財源論ではなく、この間に伸びた3・5兆円をどのような形で、国民の皆さま方に還元するのかということを述べたつもりだ」と真意を説明した。

柴氏は「原資なしとはおっしゃっていない」と理解を示しつつ「『還元』との表現が正しいのか。国民に誤解を生む表現ではないか」と指摘。「税の増収分を勝手に使ったわけではないが、税の増収分を還元するとして、あたかも自由に使える臨時収入があったかのような発言になるのではないか」として「お父さんが臨時収入があったから子どもたちを喜ばせようと家族を焼き肉店に連れていったが、そのお金は借金をしていたということなのでは。子どもたちは家にお金がないことを分かっており、別のことに使ってほしいからあまり喜んでいないということが、今の国民の評価につながっているのではないか」と例え話を披露しながら、「還元」という表現の分かりにくさを指摘した。

これに対し、鈴木氏は「増収分に見合う形をどういう形で国民の皆さまにお返しするかが出発点。さまざまなところで『還元』という言葉を使っており、今すぐ使わないということは考えていない」と述べた。