自民党や民主党で衆院議員を務めた田中真紀子元外相(79)が8日、国会内で開かれた政治改革への提言を求める会合で講演し、自民党の派閥パーティーをめぐる政治資金問題をはじめ今の政治情勢を、久しぶりの「真紀子節」で一刀両断、ぶった切った。
真紀子氏は2012年衆院選で落選後、国会議員を引退したが、政治に関する発信は続けてきた。講演の主な要旨は次の通り。
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11年ぶりに永田町の土を踏みました。空気は相変わらずよどんでいるし、きな臭い。暗い感じがします。 (第2次)安倍倍内閣ができたころから、日本は危ない方向に行くかもしれないし、国際情勢も大変厳しくなってくる。政治改革をかなり具体的にやらないといけないと思っていた。
51年前に出版した(父の田中角栄氏のベストセラー)「日本列島改造論」の復刻版を、出すことにした。(刊行元から)出しましょう出しましょうと、世間からかなり希望がありますよといわれたが、いまさら田中角栄でもなかろうと思っていたが、この10年間くらいの日本の政治、国民の政治に対する意識、投票率の低さ、世界がこれだけ複雑に動いている中で、日本は立ちすくんでいる。はぐらかしばっかりしている。これは大変なことになると思い、こちらからお願いした。51年前の本をこの春に復刻しました。
当時は92万部でベストセラーになった。今は、これだけ時間がたっているのに1カ月で全国の書店から平均400部の注文が来ている間違いなく100万部になるという話だった。政治にみんな飢えているということ。投票率が低いのは困るんですよ。私は本当に政治はすごいものだと思って育ってきているし、今もそう思っています。政治はいちばんやりがいのある仕事、現実を夢に近づけられるのが政治。こんなに素晴らしい仕事はないと思っているが、とにかく意識がみんな下がってきている。政治には期待できないという声がある。国会議員は面白くない、へなちょこばかりと平気でいう人もいる。本来、国会議員は尊敬され、憧れられる存在でないといけない。
やはり、夢がないんでしょうね。天下国家への矜持(きょうじ)がない。そういう人が議員になっていることがおかしいと思っている。
安倍さん以降、彼も含めて、安倍さんは(初当選)同期で仲良しだったが、客観的にみて、人として賞味期限が切れたような人たちが総理や閣僚、議員になっている。やる気満々で自分の夢を実現したい人がポストに就いていない。
やはり「熱」がないとだめ。そういう人を集めるための勉強会を、主人(田中直紀氏)や上田(清司参院議員)先生や郷原(信郎弁護士)先生やほかの知識人の皆さんと、ずっと勉強会を行ってきた。別に売名でやろうとか、新党をつくって頑張ろうということは思っていない。
今の国会議員がいくらもらっているか知っていますか。歳費は月額129万4000円。私の頃は文通費(現・調査研究広報滞在費)が20万円だったが今は100万円。(月に)230万円もらっている。これだけのお金をもらって、氷代、モチ代も。
大臣で外遊した際、官邸機密費からと思いましたけど、100万ずつ、白い封筒でいただきましたが私は返しました。私は公費で、大臣としてファーストクラスで、勉強させてもらいに国際会議に行くのに、なんでそんなものをもらわないといけないのかと。『おみやげ代』といわれましたが。(帰国後)私費でおみやげにチョコレートを購入し、ある人にあげたら「真紀ちゃん、チョコレートありがとう。札束がぎっしり入っているかと思ったら何だあれは」と言われました(笑い)。
氷代やモチ代の時には、幹事長が「田中真紀子君、はい」とくれる。封筒をばんとおいて「おれがもらっておくよ」と言われ「は?」と返答した(こともある)。旧文通費や歳費の他に、国会議員はお金をいっぱいもらっている。地方議員もお金をいっぱいもらっている。父が病気だというのに(自宅のある)目白に来て「奥さん、金をくれ」と。私、お茶を出していてびっくりしたことがある。ここまで地方議員は、たかっているのかと。母は「主人は倒れていますからお引き取りください」と言いました。地方議員も減らした方がいいと思います。(真紀子節全文2に続く)