岸田文雄首相は5日の衆院予算委員会で、自民党の二階俊博元幹事長が幹事長時代に党から受け取ったとされる約50億円の「政策活動費」について、使途を確認するよう再三問われたが、「確認するまでもない」と拒否を続けた。

「確認するまでもない」とした理由を問われた首相は「政策活動費は、政治活動に使われるべきもの。政治活動以外に使われるべきもので、それ以外に使われることはあってはならない」と繰り返し主張するにとどめた。立憲民主党の井坂信彦氏の質問に答えた。

井坂氏は「そんな性善説みたいな発想で野放しにしてきたから、こういう国政を揺るがす問題が起きている。政治活動に使われるべきだから当然使っているだろうではすまない。確認してください」と、政策活動費の詳細な使い方についてきちんと調べるべきと問うたが、岸田首相は「今、(問題が)大きくなっているのは政治資金パーティーのお金の問題だ。政策活動費については当然、法律に基づいて使われるべきもの。そうでなければならないと考えています」と、事実関係ではなく自身の考えを述べただけだった。

「金輪際、確認するつもりはないのか」と指摘されても、首相は「本人に電話をかけて確認しろということだが、当然政治活動に使われているものと思うし、過去の党の役員すべてが、本来の目的通りにお金を使っていると私は確信している」と、言い切った。

首相は、裏金を受けた議員に対してはきちんと課税をすべきとする国民の声に、どう答えるか問われても「法律に基づいて使用が行われていると認識している。(政策活動費の)実態を変えろというなら、各党共通のルールを議論し、判断すること」と正面から答えようとしなかった。各党が求める廃止や使途公開の是非にも踏み込まず、業を煮やした井坂氏は「そんな『脱税天国』みたいな答弁で、15日から国民が確定申告で納税してくれるか」と批判。「今回の裏金の使い道の確認も、調査もしない。それなのに(不記載の)100人の議員も50億円の二階さんも全員非課税という議員特権を認めたら、この裏金国会は脱税国会になる」と、首相や自民党の対応を厳しくただした。