岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件をめぐり、野党が求めている安倍派幹部や二階俊博元幹事長の政治倫理審査会(政倫審)出席について、30分近く立憲民主党から追及されながら、「ゼロ回答」を貫いた。
立民の山井和則議員は「昨日も野党は、政倫審の開催を(自民党に)申し入れた。決断していないのは(自民党総裁の)あなただ。岸田総理が決断しない限り実現しない。止めているのは岸田総理だ」と首相の対応を批判。「この場で自民党として、安倍派幹部や二階氏に政倫審に出席を促すと明言してください」と訴えた。
しかし岸田首相は「(開催は)国会としてご判断いただくこと。さまざまな手段を通じて説明責任を尽くすことを党として促していきたい」と述べるにとどめた。
山井氏は「反対しているのは自民党で、その総裁が岸田総理だ。はっきり、自分もそうすべきと思うと明言してください」と迫ったが、首相は「政倫審出席は本人の意向を含め国会にご判断頂くと認識している。説明責任を尽くすことを本人に促していくことは、しっかり促していく」とあいまいな回答に終始。「ゼロ回答だ」とツッコまれても同様の答弁を延々と繰り返した。
岸田首相は、安倍派幹部や二階氏に自ら出席を促しているのか確認もされたが「さまざまな手段を考えていただくよう促している」などの答弁に終始。「どんな返事が来ているのか」の問いにも「より一層説明を尽くしてもらうよう促している」と、かみ合わない答弁を繰り返した。
山井氏は「火の玉になると言いながら、安倍派幹部や二階氏に出席を促す気はないということですか」とした上で、首相が今年9月の総裁選で安倍派や二階派に所属していた議員の支持を得られなくことを懸念して出席を促せないのではないかという持論を展開し「脱派閥と言っている総理が、いちばん派閥の論理で動いている」とまで指摘。これに首相は「派閥の論理で政倫審への対応を考えているのではないかというのは、まったく当たらない」と明確に反論したが「説明責任が問われる中、それぞれの関係者に働きかけている。国会の議論は国会の判断を仰がないといけない」と、開催の是非については、最後まで言質を取らせなかった。