岸田文雄首相は29日、国会内で開かれた衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席し、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、自民党総裁の立場で謝罪した。「国民の疑念を招き政治不信を引き起こしていることを、自民党総裁としておわび申し上げます」と頭を下げた。

その上で「政治への信頼回復へ私自身、先頭に立って前例や慣習にとらわれることなく、改めるは改めていく。まずは自浄作用が求められている自民党が抜本的な改革をしないといけない。その1歩として、古い派閥のあり方とは決別すると決心した」と述べ、自身が会長を務めた岸田派(宏池会)の解散を決め、その後、安倍派、二階派も同様の対応を取ったことに言及した。

また、現職首相として初めて政倫審に出席を決めたことについて「本日も自民党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たすことにした。これも前例にとらわれない決意の1つだ」と強調した。

岸田首相は、今回の裏金事件について「なぜ、なにかがおかしいと思いながら、長年続いてきたこの不記載の敢行を是正することができなかったのか。原因が日本の政治における当選回数優先主義や、長いものに巻かれるという風土があるとしたら、我々は風通しのよい風土をつくっていかないといけない」と主張。「なぜ、政治資金の収支を明確にするという、当然のルールすら守れなかったのか。その原因が、政治における順法意識の欠如であるとしたら、コンプライアンス確立への改革を進めていかないといけない」とも訴えた。

また「なぜ問題が生じた際に、政治家自身の責任が十分に果たされないのか。原因が、政治は特別なものであるという特権意識があったとするなら、特権意識を是正し、当然の責任を果たすよう改革を進めていかないといけない」と、「なぜ」というフレーズを繰り返しながら、実態解明や改革の必要性に触れた。