北陸新幹線が3月16日に福井県敦賀市まで延伸される。これに合わせて、県内では「福井のものづくり」をアピールしようと企業が動いている。

坂井市丸岡町にある「エイトリボン」は、「チロルリボン」を量産できる国内最後の工場と言われている。丸岡はもともと、織物の幅が10ミリ以下の細幅織物の一大産地。繊維不況などの影響で2015年(平27)に歴史の幕を閉じて1度は倒産したが、「松川レピヤン」が経営を引き継いだ。18年には観光客向けの工場見学を受け入れ始めた。歴史と技術が詰まった「ジャガードリボン」を織る工場では、旧式織機が音を立てながらリボンを織り上げていくところが観察できる。昭和レトロな雰囲気の中で、かわいくおしゃれで「映える」リボンが紡がれていく。そんなギャップが対照的で面白い。

昨年1月にはファクトリーショップ「RIBBON’S CAFE(リボンズカフェ)」も開業。リボンの販売だけでなく、ワークショップ、カフェスペースとあり、リボンをきっかけに人を呼び、楽しんで貰えることで、多くのつながりが発展していくことを狙いとしている。

同じ坂井市にある「小杉織物」は、将棋の藤井聡太8冠(21)が4年前に初めてタイトルを獲得した際、着用していたシルクのマスクで注目された。県内ではほかにも鯖江市のメガネ、小浜市の若狭塗、越前市の打ち刃物など、さまざまな特産品がある。

北陸新幹線の延伸は、福井の伝統を新たな形でつなげ、福井のあらゆる産業を盛り上げようとしている。