ドジャース大谷翔平投手(29)の通訳を務める水原一平氏(39)がドジャースとの契約を解除されたことを巡り、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表が21日、スポーツ賭博とギャンブル依存症について解説した。

米メディアESPNによると、水原氏は開幕戦後のクラブハウスで、選手らの前で自身がギャンブル依存症であることを告白。水原氏は違法ブックメーカーに借金があり、大谷の口座から少なくとも450万ドル(約6億7500万円)が送金されていたという。

水原氏の報道を受け、田中氏は「ギャンブル依存症の問題は誰しもが人ごとではいられない。大谷さんのような、はたから見たら完璧に見える人でも巻き込まれる可能性がある。この問題の根深さを改めて知る気がしました」と話した。その上で、大谷について「水原さんの良さを分かっているし、信頼関係もあった。(大谷は)自分の立場もある中で、今は引き裂かれるような思いをしていると思う」と口にした。

米メディアによると、水原氏は野球を除くスポーツの違法賭博で借金をつくっていたことが判明。スポーツ賭博は米40州では合法だが、ドジャースのあるカリフォルニア州ではスポーツ賭博は違法となっている。田中氏はスポーツ賭博について「スポーツの観戦はただでさえ、ドーパミンが出て興奮状態になる。そこにさらに賭けの興奮が加わっていく。特に好きなチームが勝つか負けるかの試合。『打席で打つかどうか』『サーブが入るかどうか』『試合中盤で逆転するかどうか』。1つの試合でオッズが変わり、ひっきりなしに賭けることができる」と解説した。スポーツ好きの人がハマりやすい傾向にあるという。

また、ギャンブル依存症者に対する手助けとして「借金の尻拭いや肩代わりは間違っている」と強調した。「病気を正しく理解しないと言葉を信じてしまう。『もう2度とやらない』などと『約束すること』や『誓うこと』はなんの効果もない」と訴えた。

水原氏のギャンブル依存症の治療法については「アメリカの方がいい」と指摘。米はギャンブル依存症専門の回復施設などが整っているといい「カウンセリングを受けたり、自助グループとつながった方がいい」と述べた。ロサンゼルスの自助グループを訪問したことがあるという田中氏は、解雇された水原氏に関し「ドジャースの関係者の人たちにも水原さんを治療プログラムにつなぐことをやっていただきたい」と要望した。