作家の乙武洋匡氏(48)は8日、東京都江東区で会見し、16日に告示される衆院東京15区補選(4月28日投開票)に、無所属で出馬することを正式に表明した。「現段階ではどこの政党にも支援をお願いしていない」と述べた。

乙武氏には、小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出へ向け設立した「ファーストの会」が、出馬を打診していた。ファーストの会が推薦する方向で、政治資金パーティー裏金事件を受けて独自候補の擁立を断念した自民党も、推薦する方向で調整している。

乙武氏は先天性四肢欠損症である自身のこれまでの人生について振り返り「私たちの人生は、大きな可能性に満ちている。私はこの身をもって体現してきたつもりだ。手足の代わりに人とのご縁に恵まれてきた。運がよかったんだろうなと思っている」と口にした上で「みなさんと違う景色を見てきたからこそ、他の人とは違うことができるのではないかと思っている」と述べた。

また、自民党の裏金問題を念頭に「政治がむしろ、助けるべき人々を苦しめてしまっている。政治に希望が失われている今の状況をリセットしたい」とも述べ「基本的には新参者。ぜひ江東区のことを教えていただきたい」と訴えた。

同補選は、昨年の江東区長選をめぐる公選法違反事件で柿沢未途氏(自民党離党)が辞職したのに伴い行われる。

著書「五体不満足」で知られる乙武氏は、「未来をつくる政治塾」も主宰。過去にも国政に挑戦した経緯があり、2016年7月の参院選に自民党から出馬予定だったが、「週刊新潮」に女性問題を報じられ、断念した。2022年7月の参院選は東京選挙区に無所属で出馬し、落選した。都の教育委員を務めた経験がある。

同補選には、立憲民主党の酒井菜摘氏(37)、共産党の小堤東氏(34)、日本維新の会の金沢結衣氏(33)、参政党の吉川里奈氏(36)、日本保守党の飯山陽氏(48)、無所属の秋元司氏(52)のほか、参院議員の須藤元気氏(46)が無所属での立候補を表明している。候補者乱立で激戦になるとみられている。