藤井聡太名人（竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖＝21）が初防衛を目指して豊島将之九段（33）の挑戦を受ける、将棋の第82期名人戦7番勝負第1局が東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で10、11の両日に行われ、先手の藤井が豊島を破り、先勝した。藤井は名人初防衛、豊島は5期ぶりの名人奪還を狙う。第2局は4月23、24日に千葉県成田市「成田山　新勝寺」で行われる。

豊島が最後まで勝利への執念を見せた。開幕戦は相居飛車の力戦模様。かつて「ラスボス」といわれた豊島が挑戦者として“藤井対策”を深めてきた。4手目に9筋の歩を突く新たな趣向を見せた。「指してみたい形だった」と振り返った。昼食休憩後の難解な中終盤、豊島は強烈な角打ちを決断。「模様が良くても、けっこうたいへんかなと思っていた」。1歩も引かない気迫がこもった勝負手だった。

最終盤まで一進一退の戦いが続き、リードを広げた豊島だったが、最終盤に逆転負け。藤井から約1年9カ月ぶりの白星をもぎ取ることはできなかった。

終局後、豊島は「玉形の差があるのでチャンスの局面もあったかな」と悔やんだ。

年齢はほぼひと回り違うがともに愛知県出身で、好きな戦国武将は織田信長。ともに鋭い終盤力を持つ。これで藤井との対戦成績は11勝23敗。藤井戦は10連敗となったが、本格派の居飛車党である2人の戦いは紙一重だ。第2局へ向け「しっかりと調整したい」と気持ちを切り替えた。