藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=21)が挑戦者の伊藤匠七段(21)に先勝した、将棋の第9期叡王戦5番勝負第2局が20日、石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」で行われた。午前9時から始まった対局は、角換わりの出だしから中盤の押し合いへし合いが続いた。双方1分将棋になる熱戦の末、午後6時20分、終盤抜け出した伊藤が87手で混戦を制した。これで対戦成績を1勝1敗のタイとするとともに、タイトル戦初勝利と、同学年の藤井から待望の公式戦初白星を挙げた。

第3局は5月2日、名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われる。

伊藤が13戦目にして初めて藤井を倒した。藤井が初めて採用した3三金型早繰り銀に対し、「早い段階で前例の少ない将棋になって1手1手、手探りで指していました」と言う。最後にようやく勝ちが見えた。

これまで11敗1分け。昨年10~11月の竜王戦7番勝負、今年2~3月の棋王戦5番勝負で実力の差を痛感させられていた相手から、やっと勝利を手にした。「1つ結果を出せたのはよかった。まだ番勝負(シリーズ)は続くので、引き続き頑張りたいと思います」。

今局で藤井は勝てば、1961年(昭36)12月の九段戦第3局から62年10月の十段戦第1局まで17連勝した故大山康晴十五世名人のタイトル戦連勝記録に並ぶところだった。小3の時、小学生将棋大会準決勝で藤井を負かして泣かせた男が、今回は大記録を止めた。

これで、改めての3番勝負。「しっかりと準備して臨めればと思います」。じっと盤を見つめながら最後に抱負を語っていた。