岸田文雄首相は22日の衆院予算委で、自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、かつて安倍派の前身、森派会長を務めた森喜朗元首相に電話で聴取した際の記録について「記録はございません」と明言した。

立憲民主党の岡田克也幹事長の質問に答えた。

森氏が派閥会長の時代に、安倍派の裏金キックバックのシステムが始まったとの見方がくすぶる中、岸田首相は、岡田氏から「森さんになぜきちんと話を聞かないのか。なぜ(対面でなく)電話だったのか」と指摘され「聞き取り調査の日程の中で、森元総理の日程との調整の中で電話で行うことを決定した次第」と述べた。

岡田氏が「森元総理は、キックバックの存在も知らなかった、と答えられているんですか」と再三たずねても、岸田首相は「こうした慣行がいつから始まったのかについて直接関与したという証言は得られなかった」「今申し上げた点を確認した。それ以上については詳細を明らかにしない。実効性を高める観点からそういった前提での聞き取り調査だ」とはぐらかした。

岡田氏は「中身は言えません、でも自分が森元総理から聞いているから関係ない。それでは何も説明したことにならない。それで納得する国民がどれくらいいるのか。そんないいかげんことで許されるのか」と追及したが、首相は「聞き取り調査や政倫審などでのやりとりを通じて、うわさの域を超えて、森元総理の具体的な関与について確認できる発言はなかったということを申し上げている。追加の調査でも具体的な関与を確認できなかった」と、のらりくらりと主張した。

電話の際にほかに同席者がいたのか、また記録は取ったのかと突っ込まれると「私の責任で聞き取り調査を行いました。記録は、ございません」と平然と言い放った。岡田氏は「それでは、何もしていないのと同じだ」と、強く批判した。

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