ジャーナリストの伊藤詩織さん(35)が、15年4月に元TBS記者の男性から受けた性的暴行被害に関する民事裁判で弁護を担当した元弁護団が20日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

元弁護団は、伊藤さんが初監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」に、裁判手続き以外の場で使用しないと誓約して被害現場とされるホテルから提供してもらった防犯カメラ映像、情報提供した捜査官、タクシー運転手とのやりとりの映像などが承諾を受けないまま使用されたと指摘。取材源の秘匿が守られておらず人権侵害の問題があると批判した。

22年7月の上告審で最高裁が性被害を認めた際も代理人を務めた西広陽子弁護士は、自身との通話も無断で収録されて使われたと主張。「無断録音を使われた当事者として海外含め削除を希望します。8年半、彼女を守るために費やしてきた。何て惨めなんでしょう」と声を詰まらせた。

作品は50を超える国と地域で上映、配信され、3月3日に米国で授賞式が行われるアカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門にノミネートされている。佃克彦弁護士は「人権、倫理上の問題は、海外上映の前に正される必要があった。23年12月以降、一貫して問題を指摘してきたが向き合ってくれなかった。海外での上映を既成事実化して指摘を封じようとしていたと映る」と批判。伊藤さんが日本上映版を製作していると説明した上で「日本上映版の再編集だけでは問題解決にならない」と訴えた。

 伊藤さんは、自らの希望で元弁護団の会見の後に会見を予定していたが当日にキャンセルした。文書でコメントを発表し「体調不良によるドクターストップで出席できなくなってしまいました」と説明。元弁護団が指摘した、酩酊(めいてい)状態で男性に入り口まで引きずり入れられた様子が収録された、ホテル提供の映像の使用などについても「承諾が抜け落ちてしまった方々に心よりおわびします」と謝罪。「最新バージョンは個人が特定できないように全て対処。海外上映についても差し替えなどできる限り対応」とした。