藤井聡太名人(竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)への挑戦権を争う、将棋の第83期A級順位戦最終9回戦の一斉対局が27日午前9時から静岡市「浮月楼」で始まった。在籍するトップ棋士10人がそれぞれの意地とプライドをかけて戦う、別名「将棋界の一番長い日」のスタートだ。
2勝6敗ですでに1クラス下のB級1組へと降級が決まっている稲葉陽八段は、4勝4敗で残留確定の中村太地八段と対戦。8年前にはA級初昇級で名人戦挑戦者となった。それが降級というのが、勝負の世界の厳しい現実でもある。
26日に同所で行われた前夜祭では「再来年戻ってこられるように頑張りたい。明日頑張って指して、いいイメージでつなげたい」と抱負を語ると、ひときわ温かい拍手が送られた。未来へとつなげる対局でもある。
対する先手の中村には勝ち越しがかかる。A級で初めて戦った前期は、4勝5敗ながら残留できた。消化試合ではあっても、今局を「試金石の一戦」と位置付けている。勝つか負けるかで、来期の順位(相撲の番付のようなもの)が変わってくる。
師匠の故米長邦雄元日本将棋連盟会長はよく、「挑戦にも残留にも関係ない対局こそ、全力を尽くすべき」と話していた。その教えを実践できるか。
順位戦は、名人を頂点としてその挑戦権を争うトップリーグのA級以下、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5クラスで構成される。クラスの中に順位があり、1年1期のリーグ戦で戦う。上位の成績を出せば昇級、逆に降級もある。同星で並んだ場合は順位が優先される。プロデビューした棋士は等しくC2からスタート。飛び級はなく、名人になるには最短でも5年かかる。
持ち時間各6時間。決着は同日深夜の見込み。

