藤井聡太竜王(名人・王位・王座・棋聖・棋王・王将=23)が昨年に続いて佐々木勇気八段(31)の挑戦を受ける、将棋の第38期竜王戦7番勝負第1局が3、4の両日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」が行われ、先手の藤井が佐々木を下し、開幕白星発進した。藤井は5連覇を目指し、佐々木は竜王初奪取を狙う。「ひふみんEYE」でおなじみ、加藤一二三・九段(85)が対局を振り返ります。

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意外でした。横歩取りになるとは思ってもいなかったです。私の経験上、苦労が多い作戦で、まとめるのが大変な印象がありますから。藤井竜王が終局後「構想力が問われた」と話していましたが、味わい深い発言ですね。シリーズ前にも「対応力が課題」と話していたそうですが、その構想力と対応力の差がそっくり勝ち負けとなりました。

盤上では、藤井竜王の機敏さが発揮されました。8筋に歩を成り捨てた後、すかさず敵陣に「焦点の歩」を打ち込みました。これが先制点。と金となって、細かく飛車を動かし、8筋に回してリードを広げると、佐々木八段の飛車と角を桂、香、歩と価値の低い駒でいじめる巧妙な手で優勢となりました。

本局を見る限り、大黒柱の角換わり、相掛かりと矢倉という従来の3本柱に、今年に入って後手でよく採用している雁木(がんぎ)、今回の横歩取りと、レパートリーが広がっている気がします。タイトル戦を戦う上で、大事なことです。

佐々木八段はこの8筋に飛車が回る手が見えてなかったとのことですが、えらく率直な感想ですね。ただ、「勝ちに行く」とシリーズ前に公言しているくらいですから、先手番の次局では必ず何かを用意しているはずです。竜王戦はまだまだ始まったばかり。勝負はこれからですよ。

(加藤一二三・九段)

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