藤井聡太名人(竜王・王位・棋聖・棋王・王将=23)への挑戦権を争う、将棋の第84期A級順位戦プレーオフ、永瀬拓矢九段(33)対糸谷哲郎八段(37)戦が2日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。トップ棋士10人による総当たり戦を7勝2敗の同星で終えた両者の対決は141手の混戦の末、糸谷が抜け出してうれしい名人戦初挑戦を決めた。

糸谷は広島市出身。広島学院高~大阪大学文学部卒。同大大学院で哲学を学んだ。高校在学中の2006年(平18)4月にプロデビューした。当時から早見え早指しの才能を持ち合わせており、「将来の名人候補」との呼び声も高かった。

同年新人王戦では下馬評通りの活躍を見せ、初の公式戦優勝。表彰式の謝辞で、「今の将棋界は斜陽産業。僕たちの世代で立て直さなければ」と言い放った。問題意識を持ち、関西の若手棋士や女流棋士とユニット「西遊棋」を結成して中心メンバーとなって普及活動にも力を注いでいる。

14年には初タイトルとなる竜王を獲得した。このほか、16年王座戦、21年棋王戦では挑戦者にもなっている。昨年、日本将棋連盟常務理事となり研究の時間を削られながらも、トップ棋士としての「二刀流」で棋力を維持してきた。

同じ森信雄七段門下には、松山ケンイチ主演で10年前に公開された映画「聖(さとし)の青春」のモデルで、将来を嘱望されながら98年8月に29歳の若さで早世した村山聖九段、現役では一昨年の棋聖戦挑戦者の山崎隆之九段、東大卒初の棋士で05年にバックギャモンで王位のタイトルを獲得した片上大輔七段、現役A級棋士の千田翔太八段、振り飛車党の実力者である西田拓也六段、新人山下和毅四段ら、将棋界がいる。一門では初めての名人戦挑戦者でもある。