バレエダンサーの上野水香(48)が、1947年創業のフランスのブランド「Repetto(レペット)」とダンサーとして世界初のコラボを実現し、レオタードをプロデュースブランド「piuprima di mizuka」で発売する。20日から東京文化会館で「上野水香 オン・ステージ」開幕を控える中、取材に応じ「これをきっかけにバレエ、仕事を通じて世界に繋がっていけたら」と、世界で活躍し、積み重ねたキャリアがありながら飽くなき挑戦を誓った。
上野は「自分のプロデュースブランドでも、レオタードをやったことがなかったので、作りたいと、ずっと思っていた」と、レオタード制作に至った思いを熱っぽく語った。レペットは、世界の映画史にさんぜんと輝く英俳優オードリー・ヘプバーンさんも幼少期にバレエに取り組み、愛したブランド。「自分の考えを反映させた新しいレオタードを作るなら、レペットさんとコラボできたら、すごいうれしいなという個人的な希望で、こちらからアプローチした」と自ら動いたと明かした。「打診からスタートし、本国とやりとりし、実現するまで3年くらいかかった。決まったと聞いた時は、諦めていたくらいのタイミング。バレエダンサーとのコラボも世界初。心底、驚いた」と生々しく振り返った。
04年に東京バレエ団に入団後、最高位のプリンシパルとして踊り続け、規定のため45歳で定年も、23年に新設されたゲスト・プリンシパルに就任。「今までになかった、新しいポジションを用意してくださった。誰も踏んでこなかった場所を1人で…変な話、お先真っ暗な中、かき分けながら歩く感覚ではあっても、運が良い、光栄と常に感じています」と感謝した。
1月には、NHK総合で放送されたドラマ「替え玉ブラヴォー!」で俳優デビューも果たした。「実は憧れて、やってみたかった。踊りと自分のボディーで人物を演じてきたのが、言葉と声を使って表現することに初挑戦してみて、通じる手応えがあった」と振り返った。劇中で演じたのは、バレエ団のプリンシパル御園生咲役と自身そのものの役どころで、撮影も東京バレエ団で行われたため「日常の延長線でやることができた」という。
今後の俳優業については「バレエが軸に存在し、個性となって自分の仕事に広がっている」と、あくまで軸がバレエであると指摘。その上で「アーティストの個性を生かせる、良い意味で個性のある役だったら、良さも出るかも知れない。すごい深い世界があると思う。もっと、のぞいてみたい。繋がっていけば」と、さらに踏み込む意欲を見せた。
「上野水香 オン・ステージ」では20年、踊り続ける「ボレロ」を披露する。「この作品に関しては、人を演じているわけじゃなく自分そのもの。裸に近い格好で、舞台で激しく踊る中で、自分の魂と向き合い、1つになる。人間の究極の感覚に入っていける。踊れるうちは積み重ねたい。人を動かす作品なのは間違いない。体験して欲しい」と力を込めた。その上で「『ボレロ』をパリのオペラ座で踊るのが夢。20年、やってきた宝物なので」と口にした。48歳、上野水香の情熱は、まだまだ止まらない。【村上幸将】
◆上野水香(うえの・みずか)1977年(昭52)12月23日、神奈川県鎌倉市生まれ。親の勧めで5歳でバレエを始め、93年にローザンヌ国際バレエコンクール(スイス)でスカラシップ賞を受賞。モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに2年留学し首席。20世紀を代表するフランスの振付家・故モーリス・ベジャール氏から日本人女性として初めて踊ることを許され、直接指導を受けた最後のダンサーとなった「ボレロ」が代表作。23年には紫綬褒章受章。

