小泉進次郎防衛相は16日の参院外交防衛委員会で、今年5月に陸上自衛隊東富士演習場(静岡県)で行われた高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射撃訓練をめぐる共産党の山添拓政策委員長の指摘を「印象操作」だと反発し、山添氏も小泉氏に「それこそ印象操作だ」とやり返す場面があった。

山添氏は、今月22日に始まる日米共同訓練などを前に、鹿児島県鹿屋航空基地にハイマースなど米軍のミサイルシステムが一時的に展開される予定であることに資料の情報として言及。訓練終了後は、国内のどの在日米軍基地にミサイルシステムが保管されるのか問い、「正式配備という意味でしょうか」とただした。

小泉氏は「我が国周辺の安全保障環境が一層厳しく複雑になる中、我が国への武力攻撃そのものを抑止するため、日米同盟の抑止力、対処力を強化していくことが重要」とした上で、今月22日からの日米共同訓練でのミサイルシステムの一時展開を念頭に「今回は一時的な展開で、9月の訓練終了後、鹿屋航空基地からは撤収し在日米軍区域に保管される予定ですが、アメリカ側からは恒久的な配備ではないと説明を受けている」と述べ、「防衛省、自衛隊としては、このような高い機能性を有する米軍の高いアセットを自衛隊施設に一時展開させ、共同訓練を積み重ねることは、米軍の機能展開能力を向上させ、日米の相互運用性を向上させるものにもなる。引き続き日米が連携して取り組んでいきたい」と答えた。

「いつまで保管すると米側は言っているのか」と、さらに問いただした山添氏に、小泉氏は「アメリカ軍の運用の詳細に関することなのでお答えは差し控えます」と述べるにとどめた。 すると山添氏は「要するに分からない。正式配備につながっていくと思いますよ」とした上で、「ハイマースは沖縄の米海兵隊にも配備され、5月20日、陸自東富士演習場で、地元の抗議を無視して国道越え実射訓練を強行した。大臣は抑止力、抑止力というが、地元には迷惑をかけている」として「なし崩しの配備は許されないと指摘しておきたい」と指摘した。

山添氏はこの後、一部の自衛隊病院で病床の増加や診療科の新設など機能強化の計画があるとして、「この地域で多数の自衛官が死傷することを想定しているのですか」と質問した。これに対し、小泉氏は「自衛隊隊員の安心、家族にとっても、自衛隊が提供できる医療の体制の強化は極めて重要な課題」などと応じる中で、「ハイマースについて」と少し前の山添氏の質問内容に言及し、「印象操作なんで」として、反論を始めた。

小泉氏は「言っておかないといけないのは、抗議の声を無視してハイマースの(昨年10月に続く射撃訓練の)2回目を行った、と言っているが、私は地元の御殿場市にうかがって、地元の首長のみなさん、地権者のみなさんに、大臣自ら説明をしてくれと言われて、私が行って説明をさせていただき、その上で、地権者のみなさん、首長のみなさん、地域のみなさんに理解をしていただいた上での、ハイマースの2回目のテストです」と主張。「ですので、印象操作になるようなことはやめていただきたい」と、山添氏の主張を「印象操作」だと切り捨てた。

これに対し、山添氏は「住民の理解が得られているわけではありません。抗議の声もあがっております」と指摘。「自治体が合意したということのみをもって、住民がすべて理解したかのように言うことこそ、印象操作です。これは厳しく指摘したいと思います」と、小泉氏の「印象操作」指摘を突っぱねた。

その上で「しかも(自衛隊病院に関する)私の問いには答えがない」と訴えたが、小泉氏は自席で、指名を受けないまま「答えました」と主張。山添氏は「答弁席から着座で答えないでください」とやり返した。 その後、小泉氏は「有事は起きない前提で自衛隊の医療体制を考えるわけにはいかない。有事を想定した時、自衛隊病院でできることは限りがある」とも訴えたが、山添氏は、民間の医療機関は現在、経営が逼迫(ひっぱく)していることに触れながら「大臣は有事に傾きすぎだと思います」と指摘。安全保障政策をめぐり、同委員会でたびたび激しい議論を戦わせる2人だが、この日も厳しい応酬が続いた。