IBM・山田HC、相手に考える時間与えない

IBM・山田晋三(やまだ・しんぞう)HC
IBM・山田晋三(やまだ・しんぞう)HC

 3年前は試合開始早々にインターセプトTDを食らい、そのまま流れをつかめなかったIBM。山田晋三HC(44)は「3年前と違い、タレントもそろってきた。とくにQBは、クラフトと政本をデュアルで使える」と今季初対戦となる富士通に対し自信を見せた。準決勝では、富士通にリーグ戦で完勝したパナソニックに競り勝った。TDはいずれもパスで、クラフト3本、政本1本。政本が出番の時は「クラフトはコーディネーターとしてサイドラインにいて、プレーコールでゲームに入っている。出ていなくても出ているのと同じ。イメージができている」と山田HCは、チームの変化を肌で感じている。

 こうして初優勝への手応えを感じる一方、山田HCは富士通の総合力を警戒した。「点の取り合いでも、ロースコアでも勝ってきている。ありとあらゆる引き出しがあるから、5年連続でJXBに来られる」。そんな富士通に勝つには「まずは自分たちの力を出し切る。そして工夫が必要」と同HCは作戦を練る。

3年前の雪辱に燃えるIBMのQBケビン・クラフト(左)
3年前の雪辱に燃えるIBMのQBケビン・クラフト(左)

 10月21日のリーグ第5節LIXIL戦。オンサイドキックで攻撃権を奪われ、悪夢の逆転負けを喫した。山田HCは「あれを反省材料に練習したことないくらいにした」。結果は準決勝でオンサイドキックを決めて、連続TDにつなげた。決勝でも「今までにやっていないことをせざるを得ない。相手に考える時間を与えない」と同HCは、手ぐすね引いている。

◆山田晋三(やまだ・しんぞう) 1973年(昭48)9月8日生まれ。LBとして関学大で93年に甲子園ボウル優勝。アサヒ飲料選手時代は99年第1回W杯優勝。00年に社会人選手権、ライスボウルともに制し、01年社会人連覇時にはMVPに輝いた。同年、日本人として初の北米プロフットボール選手。07年U−19日本代表HCなどを経て、IBMのHCには10年に就任した。

中谷主将「圧倒」で雪辱へ

IBMの中谷主将
IBMの中谷主将

 IBM中谷祥吾主将(26)は「ルーキーだった3年前。富士通にボコボコにされた」。「けが人も出て、非常にしんどい試合」だったが、そこからチーム作りをしてきた。2年目のLBコグランを中心に「若い力も出てきた。勢いが違う」と今は自信をのぞかせる。

 昨年は準決勝で試合時間残り5秒からFGで26−28の逆転負けを喫し、これ以上ない悔しさを味わった。そして「やり返すにはすごいエネルギーが必要なので、ヘッドコーチと話し、今季のスローガンをDOMINATE(圧倒する)に決めた」。

 決勝の大舞台でのリベンジにやる気満々の中谷。DBとしては大型の181センチ、93キロの体を生かして「ハードタックル、インターセプトを狙う」。「ビッグプレーを決め、チームを勢いづけたい。タフなゲームになると思うが、粘り強く、オフェンス、ディフェンス、キッキングのそれぞれで圧倒する。最後の笛までやり抜く」と熱く熱く燃えている。

◆準決勝プレイバック:クラフト勝利のパス

準決勝で2本のTDを決めたIBMのWR鈴木隆貴
準決勝で2本のTDを決めたIBMのWR鈴木隆貴

IBM31−24パナソニック(11月26日・大阪キンチョウスタジアム)

 IBMは10−17で折り返すと、後半はQBクラフトを中心に反撃に転じた。第3Q序盤に追いつき、直後のキックオフでオンサイドキック。これを抑えて攻撃権を維持すると、同4分にクラフトの28ヤードTDパスで逆転した。第4Q1分10秒に相手QBアンダーソンのTDパスで同点とされたが、同5分42秒にクラフトがWR鈴木へ7ヤードTDパスを決め、接戦を制した。