イクイノックスの引退が発表されました。ジャパンCの優勝によってレーティングは133に上昇。ディープインパクトに続く国際的な名馬となりました。イクイノックスの遺伝子を受け継ぐ馬たちの走りを早く見たいものです。

12月10日(日曜)の香港国際競走には4つの競走に14頭の日本馬が参戦します。昨年はウインマリリンが香港ヴァーズに優勝、ダノンザキッドは香港カップで2着しました。果たして今年は…。

3週前に行われた、それぞれの前哨戦の結果を振り返ってみましょう。


◆G2ジョッキークラブスプリント(芝1200メートル/7頭)

優勝 ラッキースワイネス Z・パートン 1分08秒42

2着 ビクターザウィナー K・ティータン 首差

3着 ウェリントン A・バデル 1馬身差

昨年のG1香港スプリントで1番人気を裏切ったラッキースワイネスが4番手から差し切って優勝。今シーズンの初勝利を挙げました。気分良く逃げたビクターザウィナーが粘って2着。昨年の覇者ウェリントンは3着でした。

ラッキースワイネスはこれで20戦14勝、2着4回。昨年の香港スプリントはフルゲート14頭の3番枠からの発走が災いして直線も前が詰まりどうしで6着に終わりました。前哨戦のジョッキークラブスプリントも勝つには勝ったものの、まだ身のこなしがぎこちなく、これを使われての良化が見込めそうです。ウェリントンは今年6月の英国ロイヤルアスコット開催のG1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(10着)から帰国して、これがシーズンの初戦となりました。昨年の香港スプリントは7番手から気持ちよく伸びて快勝。今年も展開次第で勝ち負けになりそうです。


◆G2ジョッキークラブマイル(芝1600メートル/5頭)

優勝 ビューティーエターナル Z・パートン 1分33秒04

2着 ビューティージョイK・リュン 短頭差

3着 ヴォイッジバブル A・バデル 4馬身1/2差

昨年のこのレースと香港マイルを連勝したカリフォルニアスパングルが逃げたものの、直線で後続に並ばれると徐々に後退して4着。直線は同じ勝負服の2頭の一騎打ちとなり、最後はパートン騎手のビューティーエターナルがビューティージョイに短頭差をつけて先着しました。

ビューティーエターナルは昨シーズン10戦7勝で、今シーズンはこれで2戦1勝。香港マイルがG1初挑戦となります。僅差で勝ちを譲ったビューティージョイは今年4月のG1チャンピオンズマイルでゴールデンシックスティの2着した馬。一昨年の6月以来、14連敗と勝ち切れないものの上位に来るだけの能力を秘めています。ここではもろかったカリフォルニアスパングルも本番では変わってきそうです。そして、なにより注目は8歳のシーズンを迎える王者ゴールデンシックスティの登場。日本馬にとって、この4頭が強敵です。


◆G2ジョッキークラブカップ(芝2000メートル/9頭)

優勝 ストレートアロン C・ホー 2分01秒84

2着 ソードポイント Z・パートン 3/4馬身差

3着 マネーキャッチャー K・リョン 1/4馬身差

香港カップの前哨戦はオーストラリア遠征帰りのロマンチックウォリアーが回避して、やや小粒な顔ぶれで行われました。レースは昨年の香港カップで3着したマネーキャッチャーがスローで逃げて、1番人気になったソードポイントが2番手を追走。直線に入って、この2頭が粘ろうとするところに後方からポジションをあげたストレートアロンがかわして快勝しました。

ストレートアロンは昨年5月のG3クイーンマザーメモリアルカップ以来の重賞勝ち。今回は相手にも恵まれた印象で、この上のメンバーで勝ち負けするにはまだパンチ不足かもしれません。適距離も2400メートルと見ています。

主役のロマンチックウォリアーはゴールデンシックスティも参加した11月28日のバリアトライアル(芝1600メートルのレース形式の追い切り)にJ・マクドナルド騎手とともに登場、しまいだけ仕掛けられて同厩舎のヘレンフィーリングと併入。ゴールでわずかに前に出て順調な仕上がりをアピールしています。

なお、G1香港ヴァーズの地元有力馬と目されていたロシアンエンペラーの回避が11月30日(木曜)に発表されました。芝2400メートルは日本馬の層が厚く、地元勢は今年も苦戦が続きそうです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2023年12月1日現在