ミホノブルボンが3歳牡馬のチャンピオンとなった。直線は予想通り関西2強のたたき合いとなったが、ミホノブルボンがヤマニンミラクルの追撃を鼻差退け、デビュー以来無傷のV3でG1初制覇を達成した。これで今年の3歳重賞は関西馬の8戦全勝。戸山為夫調教師、小島貞博騎手ともに初制覇。

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ゴール前100メートル。ミホノブルボンとヤマニンミラクルの馬体がピタリと重なり合った。ミホノ・小島貞39歳、ヤマニン・田島良43歳。関西の両ベテランが全身を使って追いまくった。二人ともさながら鬼の形相で追いまくった。だが全くの平行移動に終わった。結局ハナだけ抜き出ていた内ブルボンが、わずか10センチ足らずの差を最後まで守り切り、激戦にピリオドを打った。

「苦しかった」。それが小島貞の第一声だった。道中は終始折り合いを欠き、ゴール前では「首が上がってしまった」という。過去2戦はそんなそぶりも見せなかった。それだけに愛馬の予期せぬ醜態に小島貞は終始ヒヤヒヤし通し。「並ばれたときに、もうダメかと思った。でも勝ってホッとしました。ただ……」。デビュー21年目のG1初制覇にもかかわらず、小島貞の表情はさえなかった。過去2戦、完ぺきな強さを見せていたブルボンに小島貞はクラシックの夢を抱き、その手始めとして自信を持って臨んだ朝日杯だった。その自信が100秒弱のリハーサルで不安へと変わってしまった。「きょうみたいに掛かりっ放しじゃ2000メートル(皐月賞)は難しいだろう。今後の課題は折り合いだ。調教でキッチリ直していくしかないな」と小島貞騎手は硬い表情のまま言った。勝利の喜びを一度も表すことなく、足早にジョッキールームへと引き揚げて行った。

ただ小島貞が不満なのは、それだけ同馬に対する期待が大きいからだろう。

来春のローテーションは今のところ未定。「あれじゃ1600メートルがいっぱいだ。今後の予定? そんなの終わったばかりで考えてないよ」と戸山師は語っていた。勝って不満を残す朝日杯となってしまった。【山田準】

◆ミホノブルボン▽父 マグニテュード▽母 カツミエコー(シャレー)▽牡・3歳▽馬主 (有)ミホノインターナショナル▽調教師 戸山為夫師(栗東)▽生産者原田圭二氏(北海道・門別町)▽戦績 3戦3勝▽総収得賞金5938万6800円

(1991年12月9日付 日刊スポーツ紙面より)※文中のレース名、年齢は当時の表記