8番人気ポタジェ(牡5、友道)が初タイトルをつかんだ。重賞初勝利がG1制覇の“ジャイアントキリング”。好位追走から直線の追い比べで、前年覇者レイパパレ(牝5、高野)を首差かわす勝負根性を見せた。

単勝1・5倍の1番人気エフフォーリア(牡4、鹿戸)は、自己ワーストの9着敗退。3連単は53万円超の波乱決着となった。

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年度代表馬も、前年覇者も、5連勝馬も、ポタジェにはかなわなかった。最後の直線、レイパパレが逃げるジャックドールをかわして先頭に立つ。吉田隼騎手は必死に追って、外から体を併せた。ゴール寸前のひと伸びで首差かわすと、さらに外から迫るアリーヴォも退けた。「強い馬が相手だったけど、一発狙ってやるぞと思っていた。最後は馬もいっぱいいっぱいだったので、がむしゃらに追っていました。よく勝ってくれた。うれしいです」と愛馬をたたえた。

1コーナーまでがポイントだった。スタートを出てうながして好位を確保。道中は折り合って4~5番手で脚をためた。前走の金鯱賞は後方から運び上がり最速の末脚で4着。その反省から、どの位置から脚を使うべきか、鞍上はイメージした。

「この馬はある程度のポジションを取って、最後をしのぐ競馬の方がいいと思った。1角の位置取りが、着順にかかわると思っていた」。前走で先着を許したジャックドール、レイパパレ、アカイイトに大舞台で雪辱を果たし、持てるポテンシャルを証明した。

陣営の喜びもひとしおだ。友道師は「ディープ産駒にしては珍しいタイプ。2~3歳のころは体も緩くて気持ちも前向きさがなかった。1歩1歩上ってきた。何戦使っているか分からない(笑い)。いきなりジャンプアップしてのG1制覇。今までの苦労が実りました」と穏やかな表情で語った。昨年はG3・新潟大賞典首差2着、G2・毎日王冠で0秒2差3着など、あと1歩のところでタイトルを逃してきた。デビュー15戦目、5歳での重賞初勝利がG1の大舞台だった。

馬名の由来はフランス語で「家庭菜園」。水をやり、肥料を与え、手入れをし、入厩からずっと手を尽くして見守ってきた。「これから収穫期ですね」と師。春につかんだビッグタイトル。実りの時期はこれから始まる。【網孝広】

◆ポタジェ ▽父 ディープインパクト▽母 ジンジャーパンチ(オーサムアゲイン)▽牡5▽馬主 金子真人ホールディングス(株)▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 15戦6勝▽総収得賞金 3億6282万6000円▽馬名の由来 家庭菜園(仏)