自信を蓄えて、地元に凱旋(がいせん)騎乗する。先週までの函館開催で8勝を挙げ、リーディング2位タイにつける鮫島克駿騎手(25)が今週は日曜は小倉で騎乗する。父はキングシャークこと佐賀の鮫島克也騎手。15年のデビュー以降、夏は故郷九州の小倉を主戦場としていたが、今年は北海道シリーズにフル参戦を予定している。現時点で10日が唯一の“ナツコク”参戦。好レースを誓った。

小倉の顔が函館で腕を磨いている。昨年、小倉で年間リーディングに輝いた鮫島駿騎手は17年以来、5年ぶりに函館に滞在している。2月限りで所属していた浅見厩舎が定年解散したことで、厩舎に属さないフリーになった。関東の関係者にも名前と顔を売るため、刺激を求めたロングステイだ。「毎年来ている函館ではないので。3年目の時は勝てなかったけど、今年は充実していますね」。1位の横山武騎手とは4勝差をつけられていても、どこか威勢がいい。マスク越しの笑顔には騎手としての楽しみに満ちている。

函館の2歳戦では騎乗機会3連勝中で、全体トップの4勝。多くの出会いに恵まれた。「去年は小倉で年間リーディングを取ったけど、あえて今年は普段乗っていないところで経験値を上げようと思いました。感触もいいですし、札幌も行く予定。来年も北海道で乗ろうかなと思っています」。来週に控えた函館2歳Sはよりどりみどり。お手馬多数の中から相棒には2日函館5Rの新馬戦を勝ったブトンドール(牝、池添学、父ビッグアーサー)を選ぶつもりだ。

今週末は濃密な北都での日々を一時的に離れる。10日は今夏で唯一、小倉開催に参戦する。メインのプロキオンS(G3、ダート1700メートル)はテン乗りで吾妻小富士Sを勝ったラーゴム(牡4、斉藤崇)に騎乗予定。鮫島駿騎手は「前走は58キロで勝ちきれて能力を示すレースでした。折り合いも大丈夫。前付けで粘るレースが合うと思います」と連勝を意識する。土曜は函館でのレース騎乗後、すぐさま羽田経由で福岡入りするタイトなスケジュールが待っているが、求められる喜びが移動の大変さを忘れさせる。地元でも結果を出し、来週以降のさらなる躍進につなげるつもりだ。【松田直樹】