真夏の電撃戦、アイビスSD(G3、芝直線1000メートル、31日=新潟)にルーキーの今村聖奈騎手(18=寺島)がオヌシナニモノ(牡5、高橋忠)で参戦する。女性ジョッキーの先輩、藤田菜七子騎手(24=根本)もスティクス(牝4、武幸)に騎乗予定。JRA所属の女性騎手が重賞で対戦するのは史上初で、開幕週の新潟が熱く盛り上がりそうだ。

真夏の直線芝1000メートルが、熱狂の舞台になる。今村聖奈騎手と藤田菜七子騎手の「JRA女性騎手重賞初対決」。今村は「特に意識はしていないけど光栄です」と冷静に話す。レースには多数のライバルがおり、6歳年上の先輩藤田もその1人に過ぎないという。

現在、JRAでは女性騎手を積極的に起用する風潮にあり、同一レースに複数が騎乗することも多い。昨年4月17日の新潟7Rでは1着古川奈穂、2着藤田、3着永島まなみと女性騎手によるJRA初の上位3着独占も達成された。

それでも、まだ重賞には壁がある。通常、女性騎手は2キロ軽い負担重量で騎乗でき、さらに通算50勝以下の騎手ならば4キロ減となるが、重賞(特別も)ではその特典がない。その中で、ルーキーの今村騎手に次々と重賞の騎乗依頼が舞い込むのは異例のこと。「1年目でたくさん依頼をいただくのはありがたいことですし、オーダーに合わせた乗り方、それ以上のパフォーマンスをすることが仕事だと思っています」と高いプロ意識をみせる。

コンビを組むオヌシナニモノには1週前追い切りで騎乗した。坂路で4ハロン51秒1-12秒1の好時計をマークしており「すごくいい馬。スピードに乗った時に安定感があって、いい背中をしている」と好感触をつかんだ。新潟芝直線1000メートルは1度だけ経験がある。5月はやぶさ賞(3歳1勝クラス)でヤマトコウセイに騎乗し3着。「うまく乗れず、悔しさが残っている」という。注目が集まる女性対決。まず目指すのは、オヌシナニモノの力を余りなく引き出すことだ。【岡本光男】

◆重賞の女性騎手対決 JRA重賞では99年新潟3歳S(現新潟2歳S)で、地方(新潟)所属の山本泉がナッツベリー(7着)に、JRAの細江純子がドリームセイコー(10着)に騎乗し対決が1度ある。JRA所属騎手同士の対決は前例がない。

◆新潟芝直線1000メートル スタート地点はホームストレッチの一番左端。発走直後から高低差約1メートルの上り坂。200メートルを過ぎたあたりで下り坂。その後もう1回緩い上り下りがあり、残り300メートル付近からゴールまでが平たん。フルゲートはAコース18頭、Bコース16頭。