今週もスーパー「デムーロ」ブラザーズの出番だ。イタリア人騎手のデムーロ兄弟が、ジャパンC(G1、芝2400メートル、27日=東京)を前にスペシャル対談で闘志を燃やした。兄ミルコ(43)はオークス馬ユーバーレーベン(牝4、手塚)で、08年スクリーンヒーロー以来14年ぶりの制覇に挑戦。弟クリスチャン(30)はダービー馬シャフリヤール(牡4、藤原英)で初Vを狙う。目指すは先々週のエリザベス女王杯に続く兄弟ワンツーだ。【取材・構成=太田尚樹】

-先々週は13年桜花賞以来2度目のG1ワンツー

C(クリスチャン) お互いにいい競馬ができてよかったよ。日本でG1を勝ったのは4年ぶりだったから。ミルコはハッピーじゃなかったかもしれないけどね(笑い)。

M(ミルコ) 僕は2着が一番嫌いだからね…。ずっとクリスチャンを前に見ながらレースをして、つかまえられそうな感じだったのにクリスチャンが止まってくれなかった。桜花賞で負けた時は悔しかったけど、今回はちょっと違う気持ちだったかな。僕の馬(ライラック)が本当に頑張ってくれての2着(同着)だから。

-レース後はどのように過ごした

M 一緒に京都の焼き肉屋さんでパーティーをしたよ。家族みんなでね。お母さんもすごく喜んでたよ。

-今年はお母さんだけでなく、クリスチャンも家族(妻と娘)を連れてきた

M うちに8人も住んでたからね。僕の娘と息子もいて、もう動物園みたいだった(笑い)。

C 僕の家族はもう先々週で帰っちゃったけど、いろんな場所へ行けて楽しかったよ。USJにも行ったし、奈良で鹿も見た。ミルコとはずっと離れて暮らしてたから、一緒に住んでると昔みたいで楽しいね。僕の気持ちを分かってくれるし、競馬でも家族の応援が力になってる。“ファミリービジネス”だね。

-兄弟で本当に仲良しに見える

M けんかもするよ(笑い)。でも、お互いが好きで愛してる。それが兄弟だからね。レースで一緒に乗るのは本当に楽しいよ。

-お互いのすごさは

C ミルコはマジシャンだね。手品みたいなすごいレースができる。

M クリスチャンは安定してるよね。まじめだし、賢い乗り方ができる。

-お互いへの注文は

C ミルコは最近おとなしすぎるんじゃないかな。もっとアクティブでいい。

M そ、そうかな…。クリスチャンはまだまだ若いよね。ちょっと心配になる時もあるな。

-ジャパンCでの兄弟対決も楽しみ

M ユーバーレーベンは前回で体が絞れて良くなってた。ただ、2000メートルでペースも速くて忙しかった。気持ちが難しい馬だけど、2400メートルになるのはいいと思う。

C シャフリヤールは前回で左にもたれていて、休み明けの感じだった。でも、前に乗った時よりパワフルになった感じがあったし、次は良くなると思う。距離が延びるのもいい。東京の2400メートルではダービーを勝ってるし、ドバイ(シーマクラシック)では見た目より楽に勝てたから。僕もベストを尽くすよ。

M また2人でワンツーしたいね。もちろん、今度は僕が1着で!

◆13年桜花賞・デムーロ兄弟VTR 直線半ばで先に抜け出したクリスチャン騎乗のアユサンが、外からミルコ騎乗のレッドオーヴァルに強襲されて差されるかに見えたが、盛り返して首差で振り切った。ゴール直後のミルコは怒ったように顔をこわばらせ、喜ぶクリスチャンが差し出した手を無視(?)。のちに本人は「怒ってない! 笑ってたよ」と否定している。

◆兄弟騎手ワンツー JRA・G1での兄弟騎手による1、2着独占は過去3例しかない。13年桜花賞でのデムーロ兄弟が初で、同年の秋華賞では武豊(2着スマートレイアー)-武幸四郎(1着メイショウマンボ)兄弟が決めた。2週前のエリザベス女王杯では、兄ミルコ(騎乗馬ライラック)が2着同着だったとはいえ、1着クリスチャン(騎乗馬ジェラルディーナ)とのワンツーを9年ぶりに果たしている。